メルクマール

紛糾した会議で、その空気を一転させる発言が出来る人がいます。複雑な事象に対して、シンプルな見方を提供して、一同が「それでいいのかも」という楽観論に転じるような、そんな発言ですね。　それは発言の内容だけでなく、タイミングや、発言者の声の調子など、いろんなことが影響していて、それらがばっちり決まったときに、そのような言わば「神発言」が生まれます。

僕はこの2期は、「劉備がいかに成長して、蜀グループの中心になっていくか」 に着目しているのですが、今回の黄布党討伐要請についての会議で、劉備の成長を見ることができました。彼女の発言で、紛糾していた会議がまとまって、皆が前向きな気分になったので。一同の精神的な支柱になりつつあるのでしょう。

軍事面でのリーダーは、あいかわらず関羽ですけどね。でも、これは史実でもそうだったのかもしれません。劉備は遠い昔、3世紀の人物なので、どんな人物だったのかは諸説あります。豪傑だったという説もあれば、能力的には凡庸で、誠実で高潔な人格によって豪傑たちの中心になったという説もあり、演義は後者を取っていますね。この作品の劉備も、そうなのでしょう。

ただ、劉備が中心人物になりえた理由はもう一つあり、没落したといえども漢朝の皇帝の系譜であることです。でもこの作品では、それについてはちらっと触れられただけで、あまり気にされていないようです。

一味の旗印は『劉』であり、劉備が総大将ということになりますが、今のところはなし崩し的な、形式的なものでしょう。劉備が真の旗印になるエピソードに期待しています。

そして次回は、黄巾党の討伐ですね。これまでの劉備たちは、ただの田舎の義勇軍で、何の公的な地位もなかったのですが、ここで始めて「朝廷の命」で動くことになります。三国志の物語は、ここから始まるとも言えるのでした。

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