メルクマール

大林宣彦監督の映画、『さびしんぼう』で印象的に使われたことでも有名でしょう。音楽室で『別れの曲』を弾いている、名前も知らない女子生徒に恋をする少年のお話です。

6話の感想で、僕は『楽しくも儚い世界』と書きました。生徒会メンバーと一緒にわいわいやれるのは１年間だけであり、もう２学期なので、残りは多くないはずです。だからこそ、杉崎君は40度の熱でも生徒会に来るのでしょう。貴重な一日一日を無駄にはできないから。無駄に思える、駄弁っているだけの時間が、彼にはなにより貴重なのですね。

それでも、タイムリミットは確実に近づいてきます。ならばせめて、その『別れ』を美しいものにしたいという杉崎君の想いが、『別れの曲』のハミングに込められているように思えます。

単なる思い込みかもしれませんが、杉崎君はハーレムハーレムと言いながらも、生徒会の特定の女子と付き合うつもりは無いのでは。あくまで、中学時代のダメな自分を脱却して「一流の男」になるために生徒会を目指したのであり、”二股”で好きな女の子を傷つけた自分のことは、まだ許していない気がします。むしろ「誰とも付き合わない」という意思表示のために、ハーレムを作るとおちゃらけているように見えて。

しかし、そんな彼の思いを知ってか知らずか、真冬が告白してきました。杉崎君と、他の生徒会メンバーがどう出るのか、盛り上がる最終回になりそうです。 『さびしんぼう』は、『別れの曲』のイメージ通りの、切ない結末なのですが。

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