第2話の突き抜けたバカさとは雰囲気を変えて、シリアス展開への前フリのようだと感じました。そらのおとしもの 第3話 『エンジェロイド初体験(0シレイ)』 の感想。
第2話の空飛ぶパンツのEDは、YouTubeでアクセス数1位になったとかで、世間的にもだいぶ注目されたようです。うちのサイトにも、検索エンジン経由でかなりアクセスがありました。でもアレ、EDだけ見ても面白さは分からないので(インパクトは十分だけど)、ぜひ2話全体を見て欲しいですね。『アニメNewTypeチャンネル』で無料配信されています。→こちら。 (※2話以降は配信開始から1週間無料)
2話はお色気描写も絶妙でサービス満点だったのですが、3話はほとんど無し。でもこのメリハリはむしろ好感が持てます。シリアスなドラマの最中に、パンツがちらちら見えて気が散る作品もあったりしますが、サービスはサービス、ドラマはドラマでメリハリをつけるのはいいことでしょう。
守形先輩はただのバカキャラかと思ったら、実はシリアス担当のようですね。会長も。『マッハ24』というところに反応していましたが、この数値には意味があって、いわゆる『第一宇宙速度』です。イカロスは、衛星軌道まで上がれる能力があるということでしょう。夢のスペースプレーンですよ。『愛玩用エンジェロイド』としては明らかにオーバースペックであり、二人はイカロスの正体は兵器ではないか、と思っているようです。
”感情に乏しい愛玩用ロボット”、というのは不自然ですが、兵器ならばうなづけます。イカロスは「楽しい」という感情を知りたいと思っているようですが、感情の無いロボットの悲哀を描く、典型的な人造人間譚になるのでしょうか。守形先輩がイカロスに「楽しめ」といったのは、そんなイカロスに同情する気持ちもあるのでしょう。
イカロスはスイカに妙に執着していましたが、アバンで守形先輩が、スイカを地球に模していたのがヒントでしょうね。イカロスは宇宙空間から地球を見たことがあり、それを守らなければならないと設定されているので、地球に似たスイカに反応するんじゃないかな、と想像しています。
『デマルカシオン(世界分割)』という言葉を聞くとは思いませんでした。守形先輩は”新大陸発見”を志しているということで、大航海時代に憧れがあるのでしょうね。コロンブスもバスコ・ダ・ガマも変人であり、守形先輩のような変人が新たな世界を開くのでしょう。しかし、彼はハンググライダーを作ってどうしようというのかな。"地磁気の乱れ”を利用すれば、ハンググライダーでも『新大陸』にたどり着けるという計算があるのだろうか。
でもふと気づいたのですが、あのテント状の翼はロガロ翼と呼ばれ、そもそもは宇宙カプセルの帰還用の翼としてNASAで研究されたものです。ハンググライダーは、その研究成果を元に作られたものなんですよね。 守形先輩は、新大陸からの帰還用にグライダーを開発しているのかもしれません。
「空から女の子が降ってきた」というのはマンガやアニメで普遍的なテーマで、最近だと『ToLoveる』や『ケメコデラックス』がありますが、女の子とキャッキャウフフするための方便であり、その出自にまつわるシリアス展開はオマケ扱いだと思えます。でもこの作品では”空から降ってきた女の子”はかなり重いものを背負っているようで、早々にシリアス展開になりそうな予感がありますね。考えてみれば、1話もけっこうダークな話だったし、基調はシリアスなのかもしれません。それはそれで楽しめればよいのですが、2話のようなギャグ回もたまにはやって欲しいなと。
ED曲は『太陽がくれた季節』ということで、2話に続いてフォークソングシリーズでしょうか。中村雅俊とラグビー部員が夕陽に向かって走る、青春ドラマの主題歌だったよな、と思って調べてみたら、それは『われら青春!』で、この曲はその前番組の『飛び出せ!青春』の主題歌だそうです。ともあれ、”青春”のテーマ曲みたいなものですね。ちょっと切ない感じがするのは、今回のような、みんなで楽しく過ごす平和な日々が、失われる予感があるからでしょうか。
今回は日常を描きつつ今後の伏線を張るための回のようで、地味目でしたが、絵や演出のクオリティが高いので安心して見られました。斎藤監督作品ではバンブーブレードも序盤はクオリティ高かったので、がんばって維持して頂きたいです。
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やはり「空を飛ぶ」ことが重要なモチーフのようですね。火星に行こうかという時代になっても、というかしばしば出張で飛行機に乗っていても、やはり「空を飛ぶ」ことはなぜかSFファンの永遠のロマンですよね!ご記事を拝読して、生物は進化の過程で水中から地上へ、そして高地、高山へ、そして宇宙へと、常に「上」を目指してきたという視点を思い出しましたよ
「兵器では?」という疑いは明確なセリフがあったわけではないですが、そう受け取られた方は他にもおられますね。スペック、そしてピラルクを「狩る」という行動への疑い、そして「何が目的で智樹に近づく?」という詰問の仕方には、なるほど(軍事的な)危険なことに後輩を巻き込んでほしくないという気持ちがあるのでしょう。意外に(笑)後輩想い?
私の仕事は内緒ですが、ただ、斎藤監督は私にとっては同世代人。子供の頃に夕方の青春ドラマ再放送を夢中になって見てたクチだろうなと、クスッときてしまいました。そしておっしゃる通り、この幸せはいつかは…という暗喩に違いないと思います…
大人と子供の境目で現れる幻影を象徴する「異界の者」…いかなる幻想物語でもいつかは避けられない別離が訪れる…守形先輩はそれを知る者というポジションでもあるのだろうと思います…
それでは失礼します
P.S.ちなみに原作のこの話のサブタイトルは知りませんが、斎藤監督は世代的にウルトラセブンもリアルタイムでは見ていないはずですが、たぶん幼児期と小学校高学年or中学生の2度、ウルトラ再放送ブームを経験しているのではないかと思います。後者の時期には、私の記憶違いでなければ、一生懸命早起きしたんではないでしょうか(笑)なんぞと勝手に想像させていただきました
ちなみにメルクマールさんの御年は存じませんが、前回について「なぜに退役済みのSR71?」ということについて思うに、私(たち)が子供の頃ヒコーキ&スーパーウェポンブームというのがありまして、あの機種は「世界最速!」「超高高度、高速飛行で絶対撃墜されない!」として大人気だったのですよ。そんなこともあってあの場面かなとも思ったりしました。いや、世代ネタばかりですみません。ご記事を拝読してたら思い出してしまって…
現実は残念なことになっているわけですが、子供のころに刷り込まれた空や宇宙への憧れは、根強く残っていると思えます。
世代の問題だけでなく、高く遠く飛びたいという欲求は、根源的にもあるのでしょうけれど。天使に翼があって飛べるのは、それが理想の人の姿だからでしょう。
守形先輩がイカロスを兵器だと見なしているのは、たぶん間違いないと思うのですが、イカロスがそのことを知らないのを不憫に思っているのでしょうね。一介の高校生と超兵器(異界の者)は、どう考えても住む世界が違うわけで。仰るように、やがて別離が訪れることを、先輩は悟っているのでしょう。
SR71は、その異様なスタイルからも人気のヒコーキでしたね。実際には、高速性に全てをかけているために、空戦どころかロールもできないひ弱な機体だそうですが。
サブタイトルは、ウルトラセブンの「アンドロイド0指令」から来ているんですね。指摘されて初めて気づきました。僕も”再放送ブーム”の洗礼を受けたはずなのですが、ウルトラマンシリーズはあまり見てなくて。ED曲といい、60~70年代にこだわりがあるのでしょうか。