崩壊する軌道エレベータの映像は、アメリカ同時多発テロの崩壊するワールドトレードタワーを連想させ、それも制作者のメッセージなのだろうと思えます。機動戦士ガンダム00 2nd season 第17話 「散りゆく光の中で」 の感想と考察です。
同時多発テロにまつわる陰謀説というのは、根強くあるようです。”見逃し説”と”自作自演説”があり、詳しくはWikipediaの記事あたりを見ていただくとして、マイケル・ムーア監督の『華氏911』も採っている”見逃し説”は以下のような内容です。
ブッシュやラムズフェルトたちは、石油利権のためにイラクを攻撃したかったが、単に独裁政権というだけではアメリカ国民の支持を得られないので、何か理由が欲しかった。
そこにアルカイーダのテロ計画を知り、これを見逃して実行させることで、国民の『テロ国家憎し』の世論が盛り上がるように仕向けた。
これの効果は絶大で、アメリカ国民は政府の矛盾した説明も信じて、イラク攻撃を大半の国民(世論調査では75%)が支持することになった。
この陰謀説が正しいのかどうかは、ここでは関係無いのですが、イノベイターやアロウズがやったことは、これをお手本にしたかのように同じですね。”見逃し”と”自作自演”のミックスではありますが。クーデター(テロ)を起こさせ、その結果として大災害を起こすことで、人々のテロへの恐怖を呼び起こしてコントロールしようという作戦です。
リボンズが「人類は過去から学ばない」と言っていたのは、自分たちが過去と同じことをやっている自覚があり、それが同じようにうまくいきつつあることを言っているのでしょう。人類はなんと愚かなことか、と。これは制作者が言いたいことでもあるはずです。このままでは何百年たっても世界は変わらず、同じ過ちを繰り返すだろうと。
ではどうすれば、世界は変われるのか。リボンズが画策しているように、『賢明な王によって導かれる統一世界』、というのは一つの方法ではあります。失われるものはあるし、実現する過程の犠牲も多いでしょうけれど。今回の6万人がそれですが、ひとたび世界大戦になれば何百万人も死ぬわけで、それを防げるのなら安いものという考え方もあるでしょう。
刹那たちCBは、それは間違ってると思っているわけですが、では彼らに対案があるのか。世界の恒久平和を実現するという目的は、両方とも同じであり、その実現のために武力行使しているのも同じです。そこから先の計画が、イノベイターにはありますが、CBの計画は今のところ見えず、イノベイターの計画を脊髄反射的に妨害しているだけにも見えます。
彼らがイノベイターに対抗できる『計画』を見つけてからが、物語の本番なのでしょう。この物語は『正義 対 悪』ではなく、『計画 対 計画』であるはずです。勝ち残った計画が『正義』ということになるでしょう。そして肝心の『イオリアの計画』はどうなっているのか。物語は佳境に入る一歩手前、なのでしょう。
軌道エレベータが崩壊する映像を、不謹慎にも楽しみにしていたのですが、なかなかスペクタクルでしたね。倒壊ではなく、外壁がパージされたというのももっともらしいと思えます。
軌道エレベータの作り方は、いろいろ研究されていますが、衛星軌道からケーブルを降ろす方法が主流のようです。極めて細く長いケーブルを作り、それを衛星軌道に持ち上げて、地表にまで降ろします。一旦降ろせたら、そのケーブルに少し太いケーブルをつないで、ケーブルを巻き上げます。これを繰り返すことで、宇宙に届くがっちりしたケーブルが設置され、そこまで出来てしまえば、あとはケーブルで資材をどんどん持ち上げて造るだけです。
つまり、軌道エレベータにとってはケーブルが生命線であり、ケーブルを守るために、デブリの衝突などによってバランスが崩れたら、外壁をパージしてバランスを取る仕組みがあるのでしょう。今回は、バランスの崩れがあまりに大きいために、連鎖的に外壁のほとんど全部をパージすることになってしまったようです。でも、かろうじてケーブル(心材のようなもの)は維持されているように見えました。
スミルノフ大佐はとても残念でしたが、ああいう”正しい軍人”は早死にするのが常ですね。このことがマリーにどう影響するか。
マリーの搭乗するGNアーチャーは、プラモのCMでネタバレされいたように、ロボに変形してました。こちらにプラモの写真がありますが、小柄で女性的なフォルムですね。GN言うわりにはGNドライヴが無いわけで、そのあたりどうするのかは気になります。
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もっと大きな役割があってしかるべきキャラクターだと思ってたんですが。
あのおやじさんがいなくなるのは心情的にも辛い・・・。
911テロについては、以下のブログを一度見てほしいです。
「911やロンドンのテロで大儲けしていた金融機関」
http://tanakanews.com/090125daily.htm
田中宇さんは優れた国際ジャーナリストで、私は10数年以上彼のHPを見ています。
よくあるトンデモ系ではないですよ。
P3mです。
今回はアンドレイの言動にイラッとしつつ、それも仕方がないのかなと思いました。
彼の思考回路があまりにも普通の人間っぽいのではないでしょうか。
結局、彼が言っていた事は「他人を何十、何百人殺してでも大事な人一人を守って欲しかった」、と言うことなのかも知れないと感じました。
本人は否定するでしょうが。
これは軍人失格な考えでもあり、人として仕様がない考えなのかも知れません。
何処かの知らない誰かより大事な人、大事な物の方を重視してしまうのは当たり前ですから。突き詰めていけば、大事な物を守る為に他人を無下に出来る、と言う意味では戦士として”アリ”なのかも知れないですけど。
何となくですけど、アンドレイは本当はセルゲイに泣いて欲しかった、後悔していると言って欲しかったんじゃ無いでしょうか。
セルゲイの事ですから言い訳もせずただ知らせてそれきりにしてしまったのでしょうし、アンドレイも怒りが先行して話を聞こうとも、積極的に叱責すらしなかったんだと思います。
アンドレイが父親を手に掛けたのもセルゲイをテロリストの一員と誤解したことが切っ掛けでした。
これはセルゲイが母の死を無駄にした、裏切ったと感じたのではないか、何てのは甘い考えですかね。
お互いに恐れや憎しみで拒絶し合わなければもっと違った結果に成ったのではないかと思うと残念です。
GNアーチャーは普通に考えればトレミーと同じくあらかじめ粒子を貯蓄しておくのだと思いますが、はてさて。
前期でも軌道ステーションの人命救助が密かなベストエピソードなので、今期もこれが私的ベストの一つになりそうです
せっかく盛り上がったのに、終盤は…やっぱりこうなるかという感じでした
それでは失礼します
田中宇さんは、MSNにコラムを書かれていた時は愛読していましたが、個人サイトは初めて見ました。なるほど、陰謀説の状況証拠はいろいろあるようですね。
戦争が無くならない理由は、”敵がいる”ことよりは、"戦争で得をする人がいる”ことにあると思えます。あと、それに踊らされる民衆の存在、ですね。CBの語る『戦争根絶』はそこまで切り込めるのか。
スミルノフ大佐のこのタイミングでの退場は、確かに意外でしたね。唯一のまともな軍人でしたから。マリーに本気を出させるために死んだということかもしれませんが。
■P3mさんコメントありがとうございます!
アンドレイはダメな奴だと思いますが、一種の病気なのでしょう。幼少期のトラウマってやつです。理性では筋違いだと分かっていても、そのときに閉じ込めた負の感情に囚われてしまうという。
息子がそこまで病んでいたことに、セルゲイはあの瞬間にようやく気づいて、自分が親としてダメだったことを謝罪しました。胸を打つシーンだったかと。アンドレイの今後は気がかりではあります。
GNアーチャーですが、装着している大きなコンテナ(赤いパーツ)にGN粒子を貯蔵しているのかもしれませんね。アリオスにドッキングした状態では、一種の増槽(追加燃料タンク)+ブースターになるのでしょう。
■westernblackさんコメントありがとうございます!
ZOEは見ていないのですが面白そうですね。この作品では『巻きついて大災害』を防ぐためにも、外壁のパージシステムがあるのでしょうね。裸のケーブル自体は、カーボンナノチューブだとしたら熱には弱いので(炭ですから)、地上に落下する過程で燃え尽きる気もします。
敵同士が協力して災害を防ぐシーンは、なかなか熱かったですね。映像としても良かったし。でもこれをもって敵同士でも理解が深まったかといえば、そうでもないんでしょうけど。第二次大戦では、アメリカとソ連は共同でドイツを攻め、エルベ川で劇的な出会いがあったりしたけれど、その後すぐに冷戦ですから。
失礼致しました。
今読み返すと、少しはトンデモ入ってるかもw
こういう陰謀論の特徴は「後知恵のこじつけ」
・事件の渦中では、様々な情報の錯綜、大小様々な判断ミスの積み重ね、様々な不確定要素があることを考えない
・自説に都合の良い”状況証拠”だけをピックアップ
もっと極端な例だと「アポロ計画捏造論」。
これなんて、膨大な量の情報が公開されていて、ある程度以上の歴史・科学知識があれば捏造論のほとんどが素人の勘違いとわかる程度の事なのに、それを指摘しても、陰謀論者は「怪しく思えること」だけを熱心にピックアップし続ける。
正直言って、今回の前後編の陰謀も、こうして陰謀論と同レベルの杜撰な脚本でした。
歴史上の様々な謀略戦や、『ゴルゴ13』とか『攻殻機動隊SAC』に出てくるような自作自演陰謀と比べると、あまりに杜撰すぎて、日曜夕方のわかりやすさが求められる番組としても、芸がなさすぎました。
>「パールハーバー攻撃はルーズベルトたちが巧みに誘導した自作自演」
「対日開戦と欧州戦線介入の大義名分のために、”戦略方針として”日本からの先手を狙っていた」という、ほぼ確実に確認されることとは別なので、お間違いなきよう。むかし、この話をしたらこの二つを混同した返事が返ってきたので、先に。
>田中宇さんは優れた国際ジャーナリストで、私は10数年以上彼のHPを見ています。
>よくあるトンデモ系ではないですよ。
常に読んではいませんけど、あまり信用できないようですね。まるきりトンデモでなくても、よくある、当たるも八卦あたら無も八卦レベル。911陰謀論とかの時点で、信用度ががた落ちですし。
多少トンデモもあるかもしれませんが、鋭い意見もあるので、こういう論者も必要なのだと思います。マイケル・ムーア監督もそうですね。全部鵜呑みにはできないけど、という。
■蒼月昇さんコメントありがとうございます!
興味深いサイトを教えていただいてありがとうございます。専門家の観点は面白いですね。事故の描写によって軌道エレベータのネガティブなイメージが強調されないよう、フォローされているところが流石という感じでした。
■e・turanさんコメントありがとうございます!
陰謀論の大半は、弱い仮説と恣意的な解釈に基づく眉唾ものでしょうね。Wikipediaの”陰謀論”の項目が面白いです。
でもWikipediaにもあるのですが、”陰謀論”と迷信扱いされつつも、実は本当だったというものもそれなりに有ったりします。911陰謀論はどうでしょうか。『自作自演』は無いと思いますが、『見逃し』については、無くはないカモと思っています。