サウダージとは、ポルトガル語で『郷愁』という意味だそうです。題名のとおり、ミチコの過去について語られ、ヒロシに本格的に迫っていく発端となる話でした。でも僕は、今回の主役はゼリア(孤児施設のおばさん)だと思っています。ミチコとハッチン 「愚か者たちのサウダージ」 の感想です。
『ドラマ』とは日本語では『劇』ですが、ドラマチックとか劇的とか言うように、なにか事件があり、それについて語られるのが『ドラマ』です。事件のためには何かの温度差(理系チックに言えばエントロピーの差)が必要であって、キャラクタの中にその温度差を作り出すことはよく行われます。『善人の中の悪意』とか、『悪人の中の善意』とか。ゼリアをめぐるドラマは後者でしょう。
今回、フジテレビでは2話連続放映であり、カッタルイなと思っていたのですが、ゼリアがテレビでインタビューされて、それを見たミチコが朗らかに笑うシーンで、今回も見てよかったと思いました。
ゼリアは子供を売り飛ばすという、かなり悪徳な行為をしていたけれど、子供の将来を心から案じてはいたのでしょう。子供時代のミチコに「私を信じろ」と言ったことは本心からだったのでしょう。
その時のミチコには信用できなかったけれど、自分の子供(のような存在)ができて、自分が同じセリフを言う立場になると、「こういうケースでのこういう言葉は本物だ」ということが理解できたようです。このあたりの直観はミチコの凄いところです。
ミチコがゼリアに激怒したのは、ゼリアを信じた自分に対する怒りでしょう。ゼリアのことが内心好きでもあったのでしょう。でもそれが裏切られてしまった。
それが、あのテレビのインタビューのシーンで逆転するわけです。この落差が爽快で、しかもハートウォーミングないい話だなぁと思ったのでした。
闘牛のシーンはややハチャメチャだったけれど、あれも『顛末をテレビを通してゼリアに見せる』ために必要だったのでしょう。面白い映像でもありましたし。ただし、僕は闘牛シーンは『トムとジェリー』しか比較対象がありません。
ミチコは、ケンカに強かったり弱かったりしますよね。おそらく『火事場のクソ力』を出すタイプで、相手に対して少しでも遠慮がある時には力を出せないのでしょう。だからゼリアにもあっさりやられてしまった。でもハッチンを守るためであれば滅法強いようです。ミチコが合わせ持つ『カッコ悪さとカッコ良さの温度差』が、だんだん好ましく思えてきました。
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