この手のストーリーで、主人公が我侭で理不尽な行動をするのはセオリーです。それによって物語が動くし、主人公の心の成長を描くこともできるという一石二鳥の効果があるので。 『マクロスFRONTIER』 (フロンティア) 第21話 「蒼のエーテル」 の感想。
しかし、アルト君はいたって常識人なんですよね。今回も、ランカを囮にするというルカの計画に反発しつつも結局は納得しました。これが我侭主人公であれば、ヒロインと手に手をとって逃げるくらいはやりそうですが、アルトは至って理性的な判断をしたわけです。
我侭主人公の役を担ったのはランカでした。幼生の頃から飼っていて情が移っているのはわかるけれど、バジュラの襲来によって莫大な犠牲が出ているわけで、ここでバジュラを見逃すと、また仲間を呼ばれて今度こそ壊滅するかもしれません。仲間の元に戻すとしたら、運び役の人(アルトをアテにしていたと思われる)も危険に晒されます。恐ろしく理不尽な行動ですね。
でも前述のように、これは物語として必要でしょう。また、ランカはまだ十代半ばの少女なのに、船団の命運を托されるとか、友人を失うとか、失恋した(したと思い込む)とかの、強いストレス下にあったわけです。そうやってランカが追い込まれていく様子が描写されていたので、それなりの説得力はあると思います。
それを増長させるブレラはどうかと思いますけどね。彼も我侭キャラってことでしょうけど。あるいは、バジュラについて何か知っていて、ランカの行動に意味を見出しているのでしょうか? いずれにしろ、このランカの行動はバジュラの秘密の核心に迫るきっかけになるのでしょう。
ランカはアルトに別れを告げましたが、このままサヨウナラということは無いと思います。ここから彼女の成長が描かれるはずなので。実際のところ、アルトやシェリルが成長したのに対して、ランカはほとんど成長していないのですよね。
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グレイス達の算段では近い内にフロンティアに壊滅して貰わないといけない筈ですしね。計算外だったら、臆面もなくシェリルを使おうとして色々齟齬が起きる事は避けられませんしね。ま、レオンには打撃でしょうな。自分の空々しい演説でああいうリアクションされてあげく失踪。こいつで大丈夫かと従ってきた連中すら疑うでしょうし。
せめて、アルトにヴァジュラ母船内で見たヴィジョンの事を話でもすれば少しは違ったでしょう。
どうも、すべての謎はヴァジュラとは何か? という事につながっている。プロトカルチャーの造った生体兵器かと思っていましたが、違うかもしれないと思い始めてます。
可能性1 人狼原理で姿を変えたプロトカルチャー。SFに出てきた環境に人間を合わせて改造して植民を行うって発想です。この線だとグレイス達もいつか人狼原理に頼らなくて良くなった時、人間に戻る為の記憶とか諸々を守る自立可動型データバンクのお化け。マップスのブゥアーみたいなモノかもという可能性が出てきますが。だったら何でああいう戦争になる事態に誘導したのかという問題が生じます。フロンティアやギャラクシーの人間の肉体をまるまる乗っ取るつもりかもとも思いましたがちょっと違うみたいですしね。
可能性2 銀河中心の領域に元々いる星間航行を行う生物。実はフォールドはプロトカルチャーがヴァジュラを調べて手に入れた。今回の問題は単なるテリトリーへ侵入した異物への群れとしての防衛行動。
可能性3 実はかなりハイレベルな群体知性種族。個体の脳が少なすぎるとレオンは指摘していましたが、適切なフォールド波の刺激を傍受したら群体知性の部品として脳を形成するのだとしたら、5話の事件は説明がつく。ランカが向こうに行ってコンタクトを取る事で問題がいきなり解決。グレイス達が梯子外されて追い込まれるとか。
これでアルトは否応なく答を出さないといけなくなった訳ですしね。シェリルはアルトが好きだからこそ、アルトが自分の胸に逃げてくる事を許さないでしょうし。シェリルが欲しいのは一緒に生きていく人としてのアルト、ランカの失踪で腑抜けて逃げに来たアルトはお呼びじゃない。
私的にはランカが初代マクロスのミンメイのポジションだろうと思ってます。早瀬美沙のポジションにシェリル。
次回が楽しみです。ラストは特番で一話一時間くらいにして欲しいモノです。
バジュラの正体ですが、生物兵器であることは前提だと思い込んでいたのですが、考えてみれば、そう決め付ける根拠も無いですね。普通に生物なのかもしれない。だとしたら、プロトカルチャーも知らなかった秘密がバジュラに秘められている可能性があります。
脳が小さいことは、知性が無いこととは結びつかないでしょうね。行動自体にあまり知性があるようには見えない、というのもあるのでしょうけど。ただ、バジュラには『クイーン』なる存在がいるらしく、それが何なのかは気になります。女王蜂みたいなものなのか、あるいはバジュラに指令を出すコマンダーなのか。
早瀬美沙のポジションがシェリル、というのは同感ですね。シェリルにはアルトしかいないですし。
プロトカルチャーにとってもヴァジュラは因縁の相手なのかもしれないですね。
「ロスト・ピース」のラストでプロトカルチャー50万年の夢ってグレイス達が言っていましたしね。銀河中心にはヴァジュラのせいで彼らも進出できなかったのかもしれません。最後にギャラクシーの母船(名前忘れた)が小惑星の影に隠れているシーンで。ギャラクシーの中がどうなっているかはあまり考えたくないです。シェリルが泣くほどひどい状態の可能性が高い。マトリックスみたいになっていたりして。それに、銀河中心部へ向かう移民船団はフロンティアとギャラクシー以外にいませんしね。援軍は当てに出来ない。孤立無援な状況ですね。だからこそグレイス達もあそこまで大胆な事に走ったんでしょうが。
クイーンがヴァジュラの社会でどういう位置か? なんでしょうね。ランカの歌の効果から推測するとネットワークのノードみたいなものじゃないかとも思えます。
異なる知性体である人類であると同時にリトルクイーンであるランカ。彼女の役割はもしかしたら人類とヴァジュラの異なる知性を結ぶゲートウェイみたいなものかもしれません。
私的には可能性3、群体知性なのだろうと思います。ランカ失踪から一月程度でヴァジュラの大船団がいきなりフロンティアの前に出現。ただし戦闘行動は取らない。なぜと思ったらフォールド通信で「私/我々/ヴァジュラ」が人類とのコンタクトを求めるとか。
ヴァジュラとV型感染症もつながりがあるんでしょうね。案外、異なる惑星で全く同じ病原体による感染症が見つかる。病原体が次回予告にあったみたいに金剛杵(ヴァジュラ)に似ているからヴァジュラ型感染症、略してV型。星間航行をしている意外に説笑みがつかない謎の感染源を探して第11次調査船団が調査に赴き、で、ヴァジュラに接触。
そして物語の始まりにつながるって所なのかなぁなどと思っております。
早く次回をみたいですね。
リトルクイーンが人間(プロトカルチャーの子孫)であることからして、バジュラはプロトカルチャーが作ったというのが有力だとは思います。ただ、プロトカルチャーもバジュラを制御しきれてはいないのでしょう。
群体知性、あるいは中央集権的な知性体、という可能性は高いでしょうね。