メルクマール

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学園物のアニメには、たいてい文化祭のエピソードがありますが、海外のアニメファンはそれを見ながら、「こんなことは現実には無いだろう。物語の中だけのファンタジーだろう」と思っているそうですよ。　学校を挙げてお祭りをするという風習は、他の国ではあまり見られないからです。　だからこそ、とても羨ましいみたいですね。

『たまこまーけっと』を観た海外アニメファンは、「ワオ、日本のマーケットはファンタスティックだな！ぜひ行ってみたい！」と思うかも知れません。　でも残念ながら、こちらは絶滅寸前で、日本でもファンタジーになりつつあります。　大都市の下町にはまだありますが、地方には、もうこんなに活気と人情味のある商店街は残っていないのではないでしょうか。

僕が子供の頃はありました。　八百屋さん、肉屋さん、魚屋さんだけではなく、レコード屋さん、電気屋さん、家具屋さんもありましたね。　でも今ではほとんどシャッターが降りていて、本屋さんと酒屋さんが細々とやっているだけです。

なので、この作品の風景にはノスタルジーが喚起されます。　商店街ものアニメとしては『それでも町は廻っている』があり、これも好きでした。　『それ町』のヒロインは商店街の娘では無いし、メイド喫茶という今風の店を舞台にしているので（実態はただの喫茶店だけれど）、この『たまこまーけっと』のほうが、正統的な商店街ものと言えるかもしれません。

いまの若い人には、こういう商店街はリアリティが無いかもしれませんが、ファンタジーとして楽しめるかもしれませんね。

物語はまだ導入で、どんな話になるのかさえ分かりませんが、あの変な鳥が騒動を巻き起こすコメディになるのでしょうか。　取り立ててフックがあるとか、先が気になるという感じではありませんが、たまこが商店街を歩いたり、店の手伝いをしたりするシーンを見るだけで、なんだか楽しくなる作品ではあります。

番宣CMを見たとき、音楽がすごくいいなと思っていました。　バート・バカラック風の、ストリングスとブラスのオーケストレーションによる、ハッピーでロマンチックな音楽。　でもこれはBGMではなく、主題歌のインスト版みたいですね。　



バート・バカラックは、いわゆる渋谷系の音楽に影響を与えていますが、主題歌のアレンジの宮川弾さんも渋谷系のアーティストですね。　いい曲です。　劇中の音楽担当は宮川さんではないようですが。　そういえば、『それ町』の音楽はやはり渋谷系のROUND TABLE でした。　商店街といえば渋谷系なのだろうか。

けいおん！のスタッフによるオリジナル作品ということで、今期で一番の注目作と思われますが、まずは良い出だしではないでしょうか。　主題歌のような、ハッピーな作品になることを期待しています。

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