この作品、1期では地域紛争や武器マーケットについてリアルっぽく描いていて、渋い良さがありました。 2期はかなり趣を変えて、大風呂敷な話になっていますが、これにもそれなりのリアリティがあり、楽しめています。 ヨルムンガンド PERFECT ORDER 第23話 『ウォーモンガー』 のレビューです。
量子コンピュータについては、4年前に、ガンダム00のレビューで言及したことがあるので、それを引用してみます。
量子コンピュータとは、量子力学の原理を利用して計算をさせるコンピュータです。まだ実用化されていません。
最初に作られたコンピュータは真空管で、それがトランジスタになりLSIになりましたが、原理は”ノイマン型”と呼ばれるもので、基本は何も変わっていません。速くなって規模が大きくなっただけです。でも量子コンピュータは、基本原理からして異なっていて、従来のコンピュータの高速版というわけではありません。
量子コンピュータは、普通の(ノイマン型の)コンピュータが苦手な演算のいくつかが、超高速にできることが期待されています。たとえば素因数分解はコンピュータは苦手で、桁数が多くなると膨大な時間がかかり、だからこそ暗号の鍵として使われていますが、量子コンピュータにやらせると超速いはずと言われています。
赤字の部分がポイントです。 現在、多くの暗号の鍵には素数のペアが使われています。 素数同士の掛け算は、コンピューターなら一瞬で出来ますが、掛け算した結果を素因数分解して、元の素数に戻すのは非常に困難で、桁数が多いとコンピュータでも何百年、何千年という時間がかかります。 その非対称性を利用して暗号鍵にするわけです。
でも、もし量子コンピュータが実用化されたら、素因数分解を一瞬で解いてしまうため、暗号が無意味になるでしょう。 そうなると、世界中のあらゆる暗号通信に介入することが可能になります。 具体的には、GPSに介入して操作したり、メールを改ざんしたり、軍事通信を傍受したりできるわけです。
世界中のコンピュータが操れる、とまではいきません。コンピュータには、暗号に頼らずに侵入を防ぐ仕組みがあるからです。 だから「この世界の神になる」は大げさな気もしますが、通信を支配するだけでも、軍事・経済的にはかなり優位に立てるでしょう。
ココは「世界が嫌いだ」と言いつつも、究極の世界平和を目指しています。 一方でヨナは「世界が好きだ」と言いつつ、世界がこのままではダメなことを知っています。 多数のために少数を犠牲にするか、それを許せないかは、相容れない思想ですが、二人が分かりあえることはあるのでしょうか。 ブラック長官も丸めこまれてしまい、ココを止められるのは、もはやヨナしかいないのは確かです。 僕も、ココが作る新しい世界を見たい気がするので、ココとヨナのどちらを応援するべきか、悩みながら観ています。 みなさんはどちらですか。
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