アニメとしては珍しい、ガチな復讐譚が見られそうです。 絶園のテンペスト 第3話 『できないことは、魔法にもある』 の感想。
誰が言ったか忘れましたが、エンターテイメントの三大要素は「復讐」、「宝探し」、「男女のすれ違い」なのだそうです。 たしかに、それに集約される気もします。 でもアニメでは、いわゆる復讐譚(主人公が復讐を果たす過程を描く)と言える作品は少ない気がしますね。 ちょっと考えたけれど思い当たりませんでした。 日本人は『忠臣蔵』など復讐譚は好きなのに、アニメに無いのは不思議な気はします。
だからこそ、この作品を新鮮に感じるのかもしれません。 紛う方無き『復讐譚』ですよね。 なにしろ、ヒロインが殺された後からスタートします。 ヒロインの死体を捜すところから始まる作品はありましたが、あれは時系列を過去に戻しての”過去話”がほとんどでした。 この作品は、ヒロインは回想シーンでしか登場しないのでしょうか。 だとしたら斬新だと言えます。
吉野は葉風に、魔法で愛花を生き返らせることができるのかと聞きましたが、ただの確認だったようで、できないと聞いてもガッカリした様子はありませんでした。 葉風はそれを不審に思い、「わからんな。滝川吉野、何を内に抱えている」と独白しましたが、僕にはわかる気がします。 吉野が抱えているのは、愛花を殺した相手への復讐心でしょう。
「世の中の間接は外れてしまった。ああ、なんと呪われた因果か。それを直すために生まれついたとは」 …これはハムレットのセリフですよね。 ハムレットと言えば、主人公を含めて主要人物のほとんどが死ぬという凄絶な復讐譚です。 これを口ずさむということは、吉野は葉風の復讐を誓っていて、そのためならば死んでも構わないという、葉風のいない世界に未練は無いという、そんな覚悟の表れだと思えるのです。
妹が殺されたことの不合理さに、真広は怒りを露わにしていますが、吉野はあくまでクールで、「世の中そんなもの」と他人事のように言っていました。 でもそれはあくまで見せかけで、腹の中は復讐心で燃えているのでしょうね。 ハムレットが、復讐心を隠すために狂気を装ったのと似ています。 実に危険な男ですが、だからこそカッコいいとも思えます。 これは女性に人気の出るキャラでしょう。
肉弾戦担当の真広に対して、頭脳戦でクレバーに戦うのもいいですね。 異能バトルものって何でもアリになりがちで、ピンチになると隠されたパワーが発動して…という展開に頼りがちですが、この作品は能力に明確な制限があって、何でもはできないようです。 今回のような理詰めのバトル(ややご都合主義感はありましたが)が今後も見られるならば、とても楽しみです。
奇妙な『魔法』システムのことなど、書きたいことはまだいろいろありますが、今回はこれくらいで。 映像や音楽も素晴らしいし、これは本当に期待作ですね。
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悪の組織に肉親や親友が殺されて彼等が作っていた武器で悪の組織を潰すと誓う
とか割とテンプレじゃないですか
旧くはマジンガーとか
そこに正当性を持たせる別の理由を付加するか飽くまで復讐は何も生み出さないとシビアに行くかで後々展開の方向が変わっていく感じ
無理かなと思いつつ視聴続けていたのですが、久々見応えのある作品となりそうです。
葉風の着衣は魔法に消費されたんでしょうか?
自然エネルギーならぬ文明の産物を必要とする魔法なら、無節操に使い続けたなら人間は荒野に丸裸で放り出さそうな気がします。
賢者であり魔法使いでもある彼女が、忠誠心のない使い魔を通して事態を逆転させられるかどうかが、物語の主題となるのでしょうか。
シェイクスピア悲劇をベースに陰々滅々とした空気に陥りそうな展開ですが、エバ山本や葉風らがいいコメディーリリーフとなってなかなか楽しいので、じゃじゃ馬馴らし的要素も入っているような気もします。
復讐を主題としたアニメ作品ならコードギアスが思い浮かびましたが、ガンダムAGEにもその要素があったと思います。
ロボットの代わりにやたら制約の多い魔法によって、主人公達がどう復讐を果たすのかが見所となりそうですが、気性が激しく怒りを外に向ける真広に対し、冷静沈着で抜け目のない吉野のほうが、そのうちとんでもないことを仕出かしそうな気がします。
バトルはご都合主義かなとも感じるところがありましたが、頭脳を使う工夫は伝わってきます。魔法にも制約があり「何でもあり」にしていないのはいいですね。奇妙な魔法がある作品ですが、「はじまりの樹」「絶園の樹」が登場するところをみるとセカイ系になってしまうのでしょうか(チョッと心配)。ところで吉野は今後何をしでかすか分からず目が離せません。
たしかに勧善懲悪ものには復讐の要素があるものがありますが、やはり『復讐譚』といえば、主人公が個人的な恨みで私刑を下すものを言いたいですね。
ただ吉野は優しいところもあるので、「復讐のためには他は顧みない」という復讐の鬼になれるかは、まだ不明ですね。
■こにぃでさんコメントありがとうございます!
ご指摘で初めて知ったのですが、コミックスも原作者付きだったのですね。なるほど、アニメや漫画に珍しい復讐譚になっているのは、原作者がミステリー畑の人だからというのはあるのでしょう。
なるほど、ルルーシュはまさに復讐ものでした。僕はあれ大好きなので、復讐ものが好きなのかもしれません。
■縄文人さんコメントありがとうございます!
他の方が書かれていますが、原作者がミステリー作家ということで、今後も理詰めの展開になりそうで楽しみです。
設定はセカイ系な感もありますが、いろいろ裏がありそうに思えるのですよね。そもそもこれは「魔術」と言えるものなのだろうか?と。それについては今度書きたいと思います。