メルクマール

涼宮ハルヒみたいな展開だなーとは1，2話でも思っていました。　ヒロインに奇矯なところがあって、主人公はそれを痛々しいと思っているけれど、自分もかつて同じようなものに憧れていたことを思い出す、という。

そして今回を見ると、明らかに涼宮ハルヒを意識した、その翻案みたいな作品なんですね。　作者は「自分なりの涼宮ハルヒ」が書きたかったのでしょう。　

でも涼宮ハルヒの面白さは、そういう表面だけでは無いわけです。　ハルヒは超能力とか宇宙人とかを信じているように振舞っているけれど、実は信じていません。　でも実は周囲に本物がいて、それに気付かせないように、でもハルヒを退屈はさせないように、周囲の連中がヒロインの知らないところで奮闘するという、いろいろ裏のある多層的なシチュエーションが、あの作品のキモです。

この作品はどうでしょうか。六花は会話のことごとくが”中二病”的で、ハルヒよりも重症に見えます。　でも先生との談判シーンなどを見ると、設定はかなりご都合主義的で、適当に端折ってしまうこともあるので、結局は”中二病”の設定を便利に使っているだけなんですね。　つまり本当に自分が「邪王真眼の使い手」と信じているわけではありません。　

時々彼女が魅せる素顔は、人見知りで話下手なタイプです。　彼女は人とどう接して良いかわからないので、”中二病”という設定で自分を守っているのでしょう。

そんな彼女も、きっと「恋がしたい」と思っています。　そしてある時、彼女は中二病を理解してくれそうな男の子と出会いました。　少なくとも、ツッこんでくれるので会話が成立します。　本来ならば奥手で、男の子と親しく会話なんて出来ないのに、中二病という隠れ蓑で親しく？なれたのです。

つまり、ツンデレみたいなものですね。　恋している本心を隠すためにツンツンするのが、いわゆるツンデレですが（原義は置いておくとして）、六花の場合ではツンツンではなく中二病で、本心を隠しているわけです。　「あなたのために作ったわけじゃないんだからねっ！」が、「悪しきものに浸食されたので食べて欲しい」となるわけです。　そう考えると、あの痛々しさも可愛く思えてきました。

キョンがハルヒと出会って童心を取り戻したように、勇太も無くしたものを取り戻すことになるのでしょう。　中二病ってある意味ではクリエイティブですから、方向性によっては糧になるはずです。　痛々しい中二病の日々も、単なる黒歴史ではなかった、と思う日が来るのではないでしょうか。

キャラはだいたい出揃ったようで、変人が多いですが、丹生谷さんは唯一まともな人に見えます。　でもこれがハルヒの翻案だとすれば、彼女は朝比奈みくる的な、一見普通だけれど実は重大な秘密を持っている、というキャラなのかもしれません。　楽しみにしておきます。

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