ハッキングの手法は手品みたいなもので、タネを聞いてしまえば単純なことが多いですね。 アクセル・ワールド 第22話 『Determination;決意』 のレビューです。
能美がマッチングリストに出ない理由も、簡単なことでした。 能美はネット端末を2つ持っていて、普段はニューロリンカーではなく、脳内インプラントで学内ネットに接続していたと。
まず前提として、ブレインバーストのプログラムはニューロリンカーに常駐していて、終了できないのでしょう。 普通のネット対戦ゲームであれば、インストールしていても、そのゲームを起動しなければ、ゲームのネットワークには接続されません。 でもブレインバーストは常駐解除できないようになっていて、ニューロリンカーを使っている限り、ネットに接続可能になった時点で、それがインターネットであれローカルネットであれ、ブレインバーストのネットにも接続するのでしょう。 それが嫌であれば、ニューロリンカーのスイッチを切るしかありません。
能美は、それをやっていたわけです。 学内ネットにもセキュリティはあるはずですが、そこはごかまして脳内インプラントで接続していました。 ニューロリンカーは起動していないので、ブレインバーストのネットには接続されず、マッチングリストにも出ません。 そして対戦の時や加速が使いたくなった時に、おもむろにニューロリンカーのスイッチを入れるわけです。
オンラインゲームには、多人数が中央サーバーを介して参加できるMMO(マッシブ・マルチプレイヤー・オンラインゲーム)と、端末同士がサーバーを介さずに相互接続するMO(マルチプレイヤー・オンラインゲーム)の2つがあります。 たとえばFF11やラグナロク・オンラインは前者で、モンハンは後者ですね。 ブレインバーストは、通常はMMOのはずですが、学内ネットなどのローカルではMOとして動作するモードがあるようです。 そしてローカルでの対戦結果はニューロリンカーに蓄積されて、インターネットに接続した時点で、中央サーバーにも反映されるのでしょう。
これまでなんとなく流していましたが、このエピソードのおかげで、ブレインバーストの仕組みが少しわかった気になれました。 なかなか良く出来たシステムですよね…
脳内インプラントが短期間で非合法化されたというのは、ありそうな話です。 いわゆる『サイバーパンク』と呼ばれるジャンルのSFでは、脳内インプラントを受け入れた文明と、それを忌避する文明との宗教戦争が行われているというのがお決まりのパターンなので。 PCがハックされても、せいぜいそのPCが他人に乗っ取られるだけですが、脳内に埋め込んだ端末をハックされると、その人間が他人から乗っ取られかねません。 いわゆるブレインハックで、人間性の危機だと言えます。 ニューロリンカーはそれを避ける防壁があり、また最悪は機器を外せばよいということなのでしょう。
アクセルワールドとソードアートオンラインは、同じ歴史上にある、いわゆる『未来史もの』だったのね。
チユは、脅されたわけではなく、自分の意思で能美と組んでいるのだと今回も強調しました。 もろ肌脱いだのは、それを信じさせるためだと思われ、きっと本当なのでしょう。 ということは、チユとしてはタクムたちにブレインバーストから足を洗ってほしいというのが本心なのでしょうね。 確かに、そんなゲームをしているから能美みたいな奴にからまれるわけだし、チユと遊んでくれなくなったし、黒雪姫とタクムが急接近することにもなりました。 ブレインバーストから引退すれば元通りなので、チユと能美は利害が一致しているとも言えます。 だとしたら、多少厄介なことにはなりそうですね。
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