正統派青春モノなんですが、男子キャラ2名の立ち位置がいいですね。 TARI TARI 第8話 『気にしたり 思いっきり駆け出したり』 のレビューです。
女子3名と男子2名ということで、恋愛ありの群像劇なのかなと思っていたのですが、そうはならないみたいですね。 カテゴリーとしては女子グループの青春モノで、そこにプラスアルファとて男子キャラがいる感じです。
男子キャラは、本人たちは真剣なのに笑いを取るボケ役であり、また悩める女子キャラのうっ憤のはけ口といて、バカだのボケだの常識が無いだのと罵倒される役を担っています。
女子グループが中心の作品といえば、『けいおん』や『とある科学の超電磁砲』などいろいろありますが、これらを男性視聴者が観る場合、女の子たちの誰かに感情移入するというよりは、やや離れたところから見守る意識になるのではないでしょうか。 視点の置き場所が定まらないことがあり、けいおんの場合はとんちゃん(カメ)視点だとか言われたりしますね。
この作品では、「女の子っていろいろ大変だなー」とか「女の子ってこわいな―」とか思いながら、あの男子キャラの目線で見ている気持ちになれます。 女子キャラにバカとかボケとか罵倒されるのも、構ってもらって嬉しい気持ちになれるのが不思議です。 なかなかユニークな立ち位置のキャラたちではないでしょうか。
あとこの作品は、脚本がとても良く出来ているのだけれど、整然と良く出来すぎていると思うこともあります。 特に6話でそう思ったのですが、和奏がいろんな人に順番に会って話をして、それぞれに少しづつ影響を受け、最後には音楽を続ける決心をする、というストーリーには説得力があったけれど、緻密に無駄なく組み立てられすぎている感もありました。 それをかなり救ったのが、男子キャラの謎の特訓に和奏が呆れるシーンでした。
今回はさらに、紗羽の父親が罵倒されていましたね。 あの父親は、厳格に見えて甘いですよ。 あんな言葉遣いをされて、それには怒らないのだから。 不器用で甘々な、かなりダメな父親で、これもダメな男子キャラの一員として見ていいのかもしれません。
「夢はきっと叶う」と言ったりしますが、どうやっても叶わない夢はあります。 確かに人は生まれ落ちたとき、無限の可能性がありますが、学校に入り、進学し、就職してと成長するにつれて、可能性はどんどん狭くなっていくものです。 紗羽はおそらく生まれて初めて、その可能性の限界に直面したはずで、それはしんどいでしょう。 でもそこは気持ちを切り替えるしかなくて、それを助けてくれたのは、やはり夢に向かって一所懸命な仲間たちでした。 またそんな紗羽の様子は、和奏や来夏にも影響を与えるでしょう。 爽やかな青春ストーリーで、今回も良かったですね。
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