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ここは「【映画】 おおかみこどもの雨と雪 感想」 の個別エントリーです。
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上映中の映画、『おおかみこどもの雨と雪』を観てきました。 評判通りとても素晴らしかったので、レビューを書きます。 あらすじは書いていませんが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。

この映画は、「子育ては大変だ」ということが言いたいわけではありません。 確かに花は、大変な思いをして子供を育てました。
それでなくても最初の子育ては不安で一杯なのに、病気になっても医者にもかかれず、誰にも相談できないのは不安でたまらなかったでしょう。
将来の夢を抱いて大学で勉強していたはずなのに、それを諦めて、社会から隠れるように山里で暮らすことになり、慣れない田舎暮らしは苦労の連続でした。
子供たちも、いろいろ問題を起こして困らせてくれます。

それなのに、雨が一人立ちをする時、花がかけた言葉は、「あなたにまだ何もしてあげていないのに!」でした。
僕はそれまで、結構我慢していたのですが、このセリフで泣きましたね。
ちょっとお母さん、あんたあれだけ苦労してきたのに、そんなこと言うのかよと。 その子ために、どれだけ自分を犠牲にしてきたと思ってるんだと。
でも一方で、僕は花の気持ちも分かる気がするのです。

子供を育てることで、子供から貰うものも多いからです。
子供は弱々しい状態で生まれてきて、最初は純粋に生き延びるために、やがては社会と折り合いを付けるためにもがきながら生きていくのですが、そんな子供を見ていると、産まれてきて生きていることが奇跡であることに気付かされます。
子供にとって、あらゆることが「初めての体験」ですが、それを子供と一緒に体験することで、世界が驚きに満ちていて美しいことを思い出させてくれます。

花が、子供たちと雪の中で大はしゃぎするシーンがありましたが、あれがまさに、子供から貰う幸せですね。
子供がやや特殊なので、花は苦労して生きているけれど、その分、自然の精霊のような”おおかみこども”と一緒に自然を感じるという、普通の人では得られない幸せを貰ったとも言えるでしょう。

そんな、自分は子供達からたくさんのものを貰ったという想いが、「まだ何もしてあげていないのに!」と言わせたのでしょうね。
雨は、そんな母親の言葉に驚いたようでしたが、彼も子供が出来れば分かるでしょう。 そうやって、命の営みは続いていきます。

花はとても良い母親ですよね。 子供を無理に型にはめず、自分の生き様で範を示して、あとは子供を信じるという育て方です。
言うは易しですが、これはなかなか難しいのです。
子育てで一番良くなくて、でもやってしまいがちなのは、自分のコピーを作ろうとすることだからです。
自分がこうだったから、子供もこうであるべきだ、とか、自分はこれが出来なくて後悔したから、子供にはそうさせないようにしたい、という自分基準での方に型にはめてしまうわけです。

花が「良い母親」たりえたのは、この罠に嵌る心配が無かったからだ、とも言えるのでは。
なにしろ子供はおおかみですから、自分が子供の頃と同じように出来るはずがありません。
だから彼女には、「自分の生き様で範を示して、あとは子供を信じる」というやり方しか無かったのです。
普通は子供がおおかみだったりはしませんが、でも「自分とは違う」という本質的な部分は同じで、そういう教訓を含んだお話でもあります。

僕はこの作品のような、人生の長い時間を描く映画が好きです。
映画が終わってスタッフロールが流れ始めたとき、他の人生から自分の人生に戻ってきたような、長い夢から覚めたような感覚が好きだから。
この作品はアニメーションということで、子供の成長に伴って途中で役者が変わることもなく、成長をリニアに描かれていたのが、とても良かったと思えます。
わざわざアニメーションで描く価値のある作品でした。

雪が中学に入学して家を出た時、花は「あっという間のおとぎ話のようだった」と言ったそうです。
たしかに、おおかみこどもを育てるというのはお伽話のような体験ですが、そうでなくても、子供を産んで育てるというのは、ちょっとした奇跡であり、お伽話のようなものだと言えます。
そして終わってしまえば、お伽話のように、2時間の映画のようにあっという間の出来事なのでしょう。
「子育ては素晴らしい奇跡だ」ということ、つまりは「生命は素晴らしい奇跡だ」ということが、この映画のメッセージでした。

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