このエピソードで面白いのは、文化祭を満喫している里志たち3人と、それを傍観している奉太郎との対比ですね。 氷菓 第14話 『ワイルド・ファイア』 のレビューです。
里志はこの学校で一番、文化祭を満喫している男かもしれません。 古典部と手芸部の出展に関わりつつ、、さまざまなイベントに参加し、さらに運営としても働いてという忙しさで、きわめて能動的に文化祭を楽しんでいると言えるでしょう。
えるも満喫していますね。 本来は古典部の部長として販拡の仕事があるはずなのだけれど、周囲の雰囲気に流される形で、結果的に楽しんでしまっています。 受動的ですが、これもまた文化祭の楽しみ方でしょう。
摩耶佳は多少、部内でギクシャクしていますが、あのような「楽しめればいいじゃん」派と、「本気にやらないと意味が無い」派の対立というのは、部活をやっていればアリガチですよね。 僕も経験あるなぁ。 これもまた青春の1ページで、摩耶佳も文化祭を満喫していると言えます。
一方で奉太郎は、ほとんど人の立ち寄らない校舎の隅っこにいて、客観的には淋しい文化祭ですが、でも彼は校内放送を聞いているし、里志はやえるの様子を見ることで、文化祭で何が起っているのかは把握できていますね。 えるがコスプレ撮影をしたことも、しっかり把握してるし…。 奉太郎は安楽椅子探偵(自分で証拠集めなどはせず、人が持ってきた情報を元に推理する)なので、観察者でいることがふさわしく、彼らしい文化祭の楽しみ方だと言えるでしょう。
よくある学園物のように、なんだかんだでヒロインと一緒に文化祭を巡る、という展開にならないのが新鮮で、むしろ好感が持てます。 そんな奴は爆発しろ!と思うしね。
でもただの観察者ではなく、最後においしいところを持っていくのが奉太郎です。 料理対決で、がんばって料理した3人よりも、むしろ勝利の立役者になってしまいました。 本人は「自分は貧乏くじばかり引いている」と思っていそうですが、実際には最後に手柄をかっさらうのは彼で、そこに独特な爽快感があります。 この主人公の良さで、この作品の持ち味ですね。
でも奉太郎の本領は、まだこんなものではなく、怪盗事件の解決に乗り出すことになるのでしょう。 まぁ、あれも文化祭のイベントの一つなのでしょうけどね。
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