お手軽な武将女体化ものと思っていたら、なにげに重厚な作品なのかもしれない。 織田信奈の野望 第3話 『美濃動乱』 のレビューです。
『歴史IFもの』として、ちゃんとしてると思うのですよ。 日本史上、最も偉大な人物は誰かと聞かれると、かなりの人が信長を挙げるのではないでしょうか。 弱兵と呼ばれた尾張の兵を率いて、大きな軍事的成功を収めた軍事の天才ですし、経済や文化にさまざまな改革をもたらした優れた為政者でもありました。 西洋の列強について学び、それから日本を守るにはどうしたらよいのかという国際感覚を持った最初期の人でした。
長い間、小国に分離して小競り合いしていた日本の統一を、ほとんど成し遂げたわけで、秀吉や家康は、彼の仕事の仕上げをしただけです。 もし信長がいなかったら、戦乱の世はもっと続いて、疲弊したところで諸外国の食い物になっていたかもしれません。 実際、他のアジアの国々はそうなったわけで、日本が独立を保てたのは歴史の奇跡であり、信長という天才がいたおかげとも言えます。
でも信長は、その残忍・苛烈な性格が災いして、長生きできませんでした。 本能寺の変が無かったとしても、いずれ殺されていたでしょう。 では、もし信長がああいう性格ではなかったとしたら、どうだったでしょうか。
信長は家督を継いだあと、何度も兄弟や家来から謀反を起こされます。 天才すぎて、周囲から理解されなかったのでしょう。 当初はそのたびに許していたのですが、信行が二度目の謀反を起こした時、信長は信行を殺し、それ以来、反対者を許さない苛烈な性格になりました。 本来は寛大な性格だったのに、自ら弟を殺したことで、覇道を歩む覚悟を決めたのだと思えます。
ではもし、信長にそのビジョンを共有できる理解者がいたらどうだったでしょうか。 信行を殺して覇道を歩もうとしたとき、それを諌める人がいたらどうなっていたでしょうか。 そんな歴史のIFが、この作品では描かれることになるのでしょう。 その着眼点は、とても良いと思えます。
戦国の世では、女性は政略のためにいいように利用されていて、そこにさまざまなドラマがあったわけですが、信奈は「姫武将」ということで、そんな女性側の役割も兼ねています。 今回、なかなかドラマチックなストーリーだったと思いますね。
映像もなにげに良いんですよ。 織田軍が援軍に駆けつけて合戦になり、そこから今川の軍勢が映るラストまでの映像はとても濃密です。 クレーン撮影風だったり、急に明るいところに出てハレーションが出ていたりなど、映画的な緻密なカメラワークになっていて、合戦ものの映画を見ているようでした。
このクオリティが保てるかは分かりませんが、今のところ当初の予想を裏切って?、とても良い作品になっていると思えます。 今後も期待しています。
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