メルクマール

この作品は、SF仕立てだったり、ハーレムラブコメっぽかったりもするけれど、基本は少年漫画的な熱いストーリーなのですよね。　バトルは必殺技を軸に、敵の技をいかにかわして自分の技を決めるかというガチな展開だし、親友との対決と和解というベタなストーリーもありました。　

そして今回のテーマは「挫折と試練」でしょう。　それなりに戦えるようになってきて、黒雪姫ともいい感じになっていたハルユキに、「翼を失う」という試練が降りかかりました。　自分の存在意義は飛行アビリティにあると思っているハルユキにとって、アイデンティティの喪失にも等しい出来事でしょう。　チユリを守るという気概も無く、バトルさえも放棄してしまいます。

アッシュはそんなハルユキを、スカイ・レイカーに引き合わせますが、彼女はかつて、ブレイン・バーストで最も空に近づいた者として、「イカロス」の二つ名を持っていました。　スカイ・レイカーという名前は、『ムーン・レイカー』から来ているのでしょうね。　rakeとは熊手のことで、水溜りに映っている月を熊手で取ろうとした、間抜けな男のことです。　「スカイ・レイカー」とは、空に近づきたいと足掻いているが、でもそれは叶わないという意味が込められているようです。

ハルユキは、割とたやすく飛行能力を得たので、それを失ったときにもあっさり諦めてしまったけれど、逆にスカイ・レイカーは、不屈の努力で空を飛ぼうとしたのでしょう。　ハルユキにとって、うってつけの『導師』となりそうです。　

能美の憎々しさも極まっていますからね。　あそこまで憎たらしい敵キャラを描くのも才能です。　ここからどう逆転するのか、少年漫画的な熱い展開が待ってるはずで、とても楽しみですよ。

能美にアビリティを奪われると、奪った相手が自発的に返さない限りは一生戻ってこない、としたら過酷すぎるルールで、ゲームバランス的にどうかと思うので、奪い返すための何らかの方法はあるのではないでしょうか。　能美を直接対決で倒せばいいとか。

このところ暗い展開ですが、黒雪姫先輩が出ないのも雰囲気が良くない一因ですね。　彼女がいないとハルユキはただのサエない男で、彼女が盛り立てるからこそ、ハルユキは輝くのです。　アクセサリー、と言っては言いすぎだけれど、ハルユキが主人公らしくあるための不可欠な装備です。　このままこのエピソードには絡まないとしたら寂しいですが、どうなのでしょうね。

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