メルクマール

1話はレビューできなかったのですが、その時点で良さそうだなと思っていました。　『青春群像劇』というタイプの作品はよくありますが、結構難しいと思うのですよね。　複数人を描くので焦点がぼやけがちだし、グループ内のホレたハレたの愛憎劇は、ドロドロしていて面白いとは限らないし。　最近ので言えば、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『あの夏で待ってる』が、ピンとこない青春群像劇として思い浮かぶものです。

この作品も、なんとなくそれらに通じる雰囲気があったので、やや身構えていたのですが、いいなと思えたのは、登場人物がみな一生懸命で、ちゃんと「青春」しているからでしょうか。　また、今のところは来夏が中心で、それに紗羽と和奏がからむ形ですが、この三人の関係がいいですね。　来夏がハッスルしていて、紗羽はクールに一歩下がったところから見ているのだけれど、実は紗羽は誰よりも熱くて、いざという時には来夏を全力で支えています。　そしてその二人の友情を見て、和奏も影響されつつあるという構図です。

てっきり、合唱の発表会に出るのがこの作品のゴールかと思っていたら、それはあっさり終わってしまったようです。　他のメンバーが来られなくて二人だけでステージに上がるシーンは、『ガラスの仮面』を思い出しましたよ。　演劇コンクールの話で、北島マヤが一人だけで全員の役をやってしまうという、シリーズでも屈指のエピソードです。　あそこまでドラマチックではありませんでしたが、三人の絆が深まるキッカケとなる、よいエピソードでした。

さて、ここからどうなるのかな。　伏線はいろいろ貼られてます。　校長が急に合唱部を認める気になったのはなぜか。　『心の旋律』は誰が作ったのか。　それがきっと、和奏をメインヒロインたらしめる要素のはずで、どう展開するのか楽しみです。　P.A.Worksらしい、こまやかな作画や演出も素晴らしく（なにげに、すごい動いてますよね）、安定して楽しめそうな作品ですね。

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