ずっとサボっていましたが、最期なので書きます。 モーレツ宇宙海賊 第26話(最終回) 『そして、海賊は行く』 のレビュー。
この作品での海賊という存在が、何なのか謎だなとずっと思っていました。 海賊ショーの営業をやることはわかりますが、それにしては武装が本格的だし、実際に軍と渡り合える戦力があります。 あまり世間に知られていないので、絶滅危惧種かと思っていたら、3ケタは存在するようです。
結局、何でも屋のような存在みたいですね。 海賊ショーもやるけれど、それは一部で、表沙汰にできない政府の仕事を請け負ったり、軍の訓練の相手役をしたりしているようなので、民間軍事会社的なものとも言えそうです。 特に、訓練の仮想敵役(アグレッサー)には高い技量が要求されるので、海賊の技量がそれだけ認められているということなのでしょう。
米軍は人手不足で、近年は民間軍事会社への依存度が増えているそうですが、なにしろ宇宙は広いですから、正規軍では足りなくて、民間の手を借りる必要はあるのだと思えます。
ただ、海賊は単なる軍の下請けではない、独特の誇りがあるように見えます。 独立独歩の、船乗りとしての誇りですね。
この作品の世界観は、航海することがまだ冒険だった、大航海時代を模していると思えます。 今は世界中行きたいところに行けますが、16世紀あたりまでは、海外に行くだけで危険がいっぱいの命がけだったのですよね。 だから、海賊も冒険家を兼ねていました。 私掠船船長として有名なフランシス・ドレークは、マゼランに続く世界一周を成し遂げ(リーダーが生還したという点では彼が初)、ホーン岬など地理的な発見を多く行っています。
クォーツは、「おいでなさい、より広い海に」と言っていましたが、それは星系近傍ではない、より広い銀河に出て冒険しろと言いたいのでしょうね。 いつか茉莉香もキャプテン・ドレークのように、冒険航海に出るのでしょうか。 茉莉香の父親の「鉄の髭」も、それを望んでいるのでしょうか。
戦闘シーンが、なかなか痛快でした。 最大の殊勲者はクーリエでしたね。 電子戦で攪乱を行うと、味方の位置も見失いがちで、そうなると怖いのは同士討ちです。 湾岸戦争で、米軍は華麗な分進合撃作戦を成功させたのですが、敵を包囲する形になったので同士討ちが増え、敵弾での損害よりも多かったそうです。
クーリエは、電子戦で味方艦隊の位置を欺瞞しつつ、味方同士には互いの位置が完全にわかるようにするという離れ業をやってのけました。 この時点で、グランドクロスとの性能差をはねのけ、戦況が断然有利になったのでした。
弁天丸など海賊船は、大気圏航行能力が無いのに、なぜ先端が尖っているのかなと思っていたのですが、あれは衝角だったんですね…。 軍艦に装備される体当たり用の角で、20世紀初頭までは標準装備でした。
全体として、宇宙戦闘を生き生きと描いて、かつキャラクタも魅力的な、楽しい作品でした。 劇場版があるそうで、できれば見たいと思っています。
あと笹本祐一さんの作品としては、『星のパイロット』シリーズのアニメ化をぜひお願いしたいですね。 近未来を舞台にした宇宙開発もので、「宇宙兄弟」がウケている昨今ならばアリだと思えます。 ぜひ。
ポチッとして頂けると励みになります!↓
