振り返ると、一貫した視点で峰不二子を描いた作品でした。 LUPIN the Third ~峰不二子という女~ 第13話(最終回) 『峰不二子という女(後篇)』 のレビューです。
前回のレビューで、不二子はミステリアスな女であることがウリなので、過去話は知りたくなかったと書いたのですが、過去話と思っていたものは偽りの記憶を植えつけられていたものだった、というオチでした。 それ自体は良かったですね。 ただこのどんでん返しが面白かったかと言えば、これまであまり伏線が無かったので、「そうだったのか!」という納得感は薄かった気もします。
でも、そんなもやもや感はラストで吹き飛ばしてくれました。 不二子はアイシャに、「これが私よ!私は自由よ! あなたは動けないけどね!」と見せつけるようにして、ルパンからは酷い女だと言われますが、でもあれは、いつもの不二子のやりかたなのです。
例えば3話で、不二子は「お宝を諦めて子供たちの安全を優先した」と思わせつつ、「実は最初からベルト(子供たちを守るために使った)が目当てだったのでしたー」と種明かししました。 でも、本当にそうでしょうか? 僕には、自分の優しさを認めたくないので、露悪的にそう言ったように見えました。 真相は謎ですが。
今回も、普通に見ると酷いことをしているようだけれど、あれも不二子の優しさではないでしょうか。 アイシャは自分が動けないので、自分のコピーを作って、それを観察しようとしたのです。 自分のコピーである不二子が自由を謳歌しているのを見て、アイシャは自分をそれに重ねて、最後に安らかな思いで死ぬことが出来たのでは。 不二子はアイシャの記憶を植えつけられていたので、アイシャの気持ちは自分のことのように分かっているはずです。 そしてアイシャの死に顔は、とても安らかでした。
「悪い女」のシンボルみたいな存在だけれど、情に篤く優しいところがあるようで、でもそれを確信させるようなシッポは出さず、本心は誰にも分からない。 そんな不二子のキャラクタ描写は一貫していて、ラストもそれで締めてくれました。 それを描くことこそが、この作品の目的だったと思えます。 「ミステリアスな女、峰不二子を描く」というこの企画は、下手をすると不二子のミステリアスさをスポイルしかねないものでしたが、そうはせずに、でもしっかり不二子を描いたという点で、素晴らしい作品でした。
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