僕は船にはちょっとうるさいので、半分くらいが船のウンチクですみません。 ヨルムンガンド 第5話 『Vein』 のレビューです。
ココの兄のキャスパーが登場。 兄妹はコンテナ船の中で生まれたのだそうです。 コンテナ船で世界中に武器を売ってまわっているということなのでしょうけれど、フリーの武器商人にコンテナ船というのは、やや違和感がありますね。 というのも、貨物船には定期船(ライナー)と不定期船(トランパー)の2つの運航形式があり、コンテナ船は定期船として使うものだからです。
コンテナ船はコンテナを積むことに特化した船で、甲板にコンテナを高く積んでも見晴らしが確保できるように、船橋(ブリッジ)が高いのが外見上の特徴です。 規格化された荷物を速く大量に運ぶために、大型で高速な、つまり高価な船なので、定期航路で多くの荷物を募って効率よく運行しないとペイできません。 また、船が大きいので、港湾設備が整った大きな港にしか入れません。
武器商人の船は不定期運航で、いろんな港に行くのでしょうから、コンテナ船ではない、一般貨物船が良さそうに思えます。 でも軍事的という意味では、コンテナ船には意外な価値があって、それは有事の際に軽空母に転用可能なことです。 広くて強い甲板を持ち、速度が速いからですね。 フォークランド紛争の際、イギリス軍はコンテナ船のアトランティック・コンベアー号を派遣して、ハリアーの洋上補給所として使っていました。 エクゾセ・ミサイルで撃沈されたのですが。
ココたちのコンテナ船も、そういう用途まで想定しているのかもしれませんね。 『エリア88』で、武器商人が空母を持っているという話がありましたが、それに比べればリアリティがあります。
ヨナとココの出会いの話でした。 というかキャスパーとの出会いですね。 仲間を皆殺しにした凶暴な少年を、護衛として雇うのは無茶な話で、用心深いキャスパーには似合いません。 いまだにヨナはお前を殺すとか言っていますし。 それでも生かして手なづけようとしたというのは、キャスパーはあれで、ヨナの境遇を憐れんで、助けてやろうとしたのではないでしょうか。 そんなそぶりは見せませんが。
戦争で酷い目に合うのは、いつも弱い立場の人で、子供はその最たるものです。 ココやキャスパーは、世界中の戦場を回って、酷い目に合っている子供はいくらでも見ているでしょう。 それにいちいち憐れみをかけていては、武器商人はやっていけないでしょうけれど、少しでもなんとかしたいという気持ちはあるのかもしれません。 孤児たちを、しっかり日本に送り届けていますし。
「世界は悲しいことだらけだし、自分は世界に嫌われているのかと思うけれど、でも世界が好きだ」というヨナ。 「ココは?」という問いに対して、ココは答えませんでしたが、同じ想いなのでしょう。 世界は美しいけれど、悲しみに満ちている。 その中であがくのが、生きているということなのでしょう。
ポチっとして頂けると励みになります!↓
