とってもハードボイルドで良いなぁと思っていたら、脚本が大西信介さんじゃないですか。 LUPIN the Third ~峰不二子という女~ 第5話 『血濡れた三角』 のレビューです。
大西信介さんといえば、『閃光のナイトレイド』の大半の脚本を担当されています。いまいちマイナー作だった気がするのですが、僕はとても好きで、ブルーレイを買ったくらいです。 何が良いかといえば、ハードボイルドな小粋なスパイものという雰囲気が好きだったのですね。 後半はそれが薄れてしまって、やや残念でしたが。
今回のルパンや次元のセリフは、いちいちハードボイルドでした。 無駄のない短い単純なセリフで、シニカルでおちゃらけていて、でも渋くカッコいいというものです。 例えば、「峰不二子と何があった!」「何も無かったからご不満なんだろう」という短い会話の中に、諧謔と投げやりさと、二人の過去を仄めかすニュアンスが込められています。
ストーリーはアトラクションムービー的で、このめまぐるしい展開と、ハードボイルドな落ち着いた会話とを1話に詰め込んだのが凄いです。
「死者の審判」のエピソードは、ルパンたちの泥棒としての業の深さを表現していました。 神を畏れる気持ちは誰にでもあるはずですが、彼らは神なんか知ったことかと、泳がない目で言えます。 でもその引き換えに、彼らの魂には安息は無くて、いまさら善人にもなれないので、盗み続けるしかないのでしょう。
4話までは、不二子はひたすらカッコよく描かれていましたが、今回は不二子のダメっぷりも描かれていました。 お宝を前にするととたんに冷静さを無くしてしまうところは、彼女の最大の弱点でしょう。 でもそういう愚かさも、可愛いと思えてしまいますね。 ハードボイルドな男と、愚かだけれど美しい女という、伝統的な娯楽作品のフォーマットで、定番なだけあっていいものだなと思います。 わずか30分弱の作品ですが、いい映画を1本見たような満足感がありました。
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