ロードショー中の映画、『バトルシップ』のレビューです。 映画の感想はアバター以来ですが、とてもおもしろかったので書きます。 エイリアンが攻めてきて、それにアメリカ海軍や海上自衛隊の軍艦が立ち向かうというストーリーだと聞いて、これは見なきゃと思ったのですが、正解でしたね。
まだ見ていない方のために、なるべくネタバレ無しで書きますが、設定に言及するところはあります。
エイリアンが攻めてくる理由について、SF的な説明があるのですが、これがとてもショボイので、この時点ではやや不安になりました。 その後軍艦が登場して、輪陣形の艦隊が波を蹴立てて進む様子を見て、「やっぱカッコいいな!」と盛り上がりつつも、途中までは「まぁこんなもんかな。CGやアクションがいいし、それなりには面白いな」という感じでした。
でも、あるところから風向きが変わって盛り上がり始め、ラストはもう大盛り上がりでしたよ。 「そう来るのか!」という意外性と、それを盛り上げる演出や役者さんの雰囲気が素晴らしい。 男の子なら、これにワクワクしなきゃウソでしょう。
軍隊がエイリアンに対抗すると言うと、『インディペンデンス・デイ』が思い浮かびますが、あれが宇宙人を打倒する方法はハチャメチャでしたが、この映画は無茶なところはありつつも、それなりによく考えられていて納得感があります。 2時間の枠内で、海上戦と陸上戦を両方描き、キャラクタの内面まできちんと描いた緻密な脚本でしょう。
映像も良くて、物が破壊されるシーンが多いわけですが、本当に目の前で破壊されたような臨場感があります。 最近のCGは凄いですな。
この映画の原作はボードゲームで、いわゆる『軍艦ゲーム』に似たゲームのようです。 升目にコマを配置して、交互に移動したり攻撃したりして、近くに弾が落ちたら「波高し」と宣言する、あれですね。 あんなストーリー性の無いゲームが原作というのは驚きですが、なるほどねと思う部分はありますな。
設定が分かりにくいところがあると思うので、ちょっと解説モードで。 敵はこちらから攻撃すると反撃するけれど、攻撃しないと姿が見えなくなるようで、なぜそうなのか不思議かもしれませんが、これはきっとエイリアンの視覚の『認識』の方法が、人間とは違うということなのでしょう。
見たものを認識するというのは、とても奥が深いことなのです。 たとえば監視カメラの映像を分析して、「万引きした人を見つけて警報を出すシステム」が作れると便利なはずですが、今のところ実用的な精度のものはありません。 人間なら「あ、いま万引きした」と見ればわかりますが、コンピュータでそれを認識するのはとても難しいのです。 人間がそれをできるのは、長い進化の過程での必要性で獲得したからでしょう。 「あの獣はこちらを狙っている」といったことが分からないと、生き抜けないからです。
でも違う環境で進化したエイリアンであれば、そういう認識能力が発達しなくても不思議ではありません。 エイリアンは同じものを見ても、我々とはまったく違うように認識するでしょう。 エイリアンは電子機器の力を借りて、相手がこちらを攻撃しそうかどうかを判断しているようですが、万引きの判別がコンピュータには難しいように、敵意の判別も難しいはずで、精度があまり高くないのだと思われます。 といったことを頭に入れて見ると、ストーリーが分かりやすいかもしれません。
艦隊がハワイにいて、かつ宇宙施設もハワイにあるのはご都合主義だと思われるかもしれませんが、これも実は理に適っています。 ハワイにはアメリカ太平洋艦隊の基地があるし、またハワイ島は天体観測のメッカで、日本をはじめとする各国の天文台が13か所もあるのでした。
そんなわけで、とても楽しめた映画でした。 軍艦が好きな方は必見だし、そうでなくても、アクション映画として十分楽しめると思いますよ。 興味がある方は、ネタバレを踏まないうちに見ることをお勧めします。
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夜行性なのではというご指摘は、なるほどと思いました。あるいは彼らの星の太陽の光はごく弱いのかもしれませんね。だから視覚処理による認識能力は進化しなかったと。フェロモンみたいな、大気中の微妙な化学物質を認識する方向で進化しているのかもしれません。
戦闘をなるべく避けたかったかどうかは、何とも言えませんね。彼らとしては死に物狂いでしょうから、潜在的脅威は排除したいのではと思えます。あとは、道徳観念がわれわれとは違うというのもあるのかもしれません。
あまりSF的な説明は無かったのですが、いろいろ裏付けを想像するのも楽しみ方ですね。