よくありそうな設定ですが、丁寧に描かれていて好印象。 黄昏乙女×アムネジア 第1話 『幽霊乙女』 のレビューです。
『アムネジア』というのは、記憶の一部が欠落する、要は記憶喪失のことですね。 『風の名はアムネジア』というSF小説があって、世界中の人が記憶喪失になる話でしたが、それ以外では聞いたことが無い用語です。 ヒロインの幽霊少女が、記憶を失っていることを表しています。
ヒロインが幽霊というのは定番の設定ですし、幽霊になった経緯を忘れているというのもよくあります。 『あの花』もそうですね。 なのでこの作品は、あんまり期待しないで見たのですが、第1話はなかなか面白かったのではないでしょうか。
幽霊が見える人と見えない人がいて、それを利用したシチュエーションコメディがメインでした。 その面白みを最大限に生かすために、同じシーンを2回やる念の入れ方です。 1回目でも何が起っているのか想像できたので、欲を言えば2回目での意外性がもうちょっとあると良かったですが。 相手から見えないのをいいことに、からかう様子は、『トムとジェリー』の透明人間の回を彷彿させて、そんなベタなコメディはハマっていました。
この作品のキモは、夕子を魅力的に描いて、「自分もあんな幽霊に取り憑かないかなぁ」と思わせることでしょう。 1話での夕子さんは、十分魅力的だったと思えます。 昔の時代に生きた人のようで、古風なところと、わりと現代的なはっちゃけたところが同居しているのがいいですね。
スタッフは大沼心さんと高山カツヒコさんのコンビなので、 まず外れは無いのでしょう。 いつものケレン味のあるシャフト演出(シャフト出身なので)は見られなくて、むしろ古い日本映画のような、同じ構図のショットを多用する落ち着いた演出でした。
あと、声優さんが皆上手でいいですね。メインがあまり上手ではない作品も散見されるので…。 やはり芝居は大事です。
コメディとしては十分面白くなりそうなので、あとは夕子の幽霊譚の部分が「いい話」であれば名作になるかもしれませんが、そこまでは期待せずに見ることにします。 まだ原作は完結していないですし。
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