山本沙代監督らしい、スタイリッシュな作品でした。 LUPIN the Third ~峰不二子という女~ 第1話 『大泥棒 VS 女怪盗』 のレビューです。 初回なのでなるべくネタバレしないように書きます。
山本沙代監督の『ミチコとハッチン』は、あんまり人気が無かった気がしますが、僕は好きな作品でした。 レビューも(途中まで)書いています。 猥雑だけれどエネルギッシュな南米の町並みや、ダメな大人だけれどたまにカッコいいミチコの立ち振る舞いが独特のタッチで描かれていて、ストーリーは忘れてしまいましたが、映像や音楽が強く印象に残っています。
『ミチコとハッチン』はあれだけのクオリティでありながら、営業的には失敗だったと思うのですが、その理由はテーマがマイナーなことや、ヒロインの魅力が分かりにくいことや、ストーリーが平坦なこと、にあったと思えます。 もったいない作品でした。 その点今回の作品は、テーマはメジャーですし、ヒロインはひさすらカッコよく描けばいいのだし、ストーリーも分かりやすく盛り上げることができます。 山本監督の映像美を生かせる、いい企画ではないでしょうか。
ストーリーは、売れっ子の岡田麿里さんですね。 岡田さんのポエムちっくなモノローグやセリフまわしは、ばっちり合う作品と、そうでもない作品がある気がするのですが、この作品にはとても合いそうです。 冒頭のナレーションから惹きこまれました。 ミステリアスで強い女性を描くという点で『カナン』を思わせますが、あれもポエムなモノローグが好きだったのですよね。
僕はルパン三世の最近の作品は見ていないので、子供の頃の記憶だけなのですが、子供心に、ルパンたちは十分に大金持ちだろうに、なぜ危険を冒して泥棒を続けるのだろう、と思っていました。 その長年の謎が解けた気分です。 ルパンも不二子も、生きていることがたまらなく退屈なのですね。 その退屈を紛らわせるために、盗みのスリルという悪徳に耽溺している。 大物を狙うのも、派手に予告するのもそのせい。 不二子はそのためであれば、身を汚しても構わないとさえ思っているわけで、何が彼女をそこまで駆り立てるのでしょうか。 彼女の渇きを止めるすべはあるのでしょうか。
峰不二子といえば「ミステリアスな女」の代名詞なのに、彼女を中心に描くことで、そのミステリアスさが減じてしまうのでは、という懸念がありました。 でも彼女を描くことで、むしろそのミステリアスさが増したような気がします。 今後ルパンたちと知り合うようになることで、不二子がどう変わっていき、彼女の謎がどう解き明かされるのか、楽しみにしています。
もちろん、スタイリッシュな映像や音楽も楽しみです。 アダルティなのもいいですね。 乳首が見えているのはアニメでは珍しいですが、4年前にアニメ化された『ゴルゴ13』でも、規制が厳しいテレビ東京にもかかわらず、かなり露骨なベッドシーンがありました。 古典的名作ならば、芸術のためということで許されるのだろうか…。 これもベッドシーンあるかな? 見てみたい気もするけれど、でも不二子は永遠にミステリアスな、落ちない女でいて欲しい気はします。
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確かにそうかもしれませんが。
ルパンと不二子では一段違う気がします。
不二子はその美貌をもってすれば手に入らないものはない。
だから、自分の得物をもってしても手に入らないものを求めている。
ルパンも昔はそうだったんでしょう。
しかし、ルパンは自分に盗めないものはない、そういう域に達して次のステージへ行った。
人の心を盗む、というステージに。
マウスという作品でこんなような話があったような気がします。
マウスの盗みは金のためにするのではなく、金は盗みのためにある
みたいなこといってた気がします。
人々を驚かせてこそのマウスの盗みだ、と。
そしてルパンはそのステージですら盗むものがなくなった。
それで今は自分に盗めない心を探し中、ということなのかなと思います。
イスカンダルの「彼方にこそ栄えあり」じゃないですが彼の望みは常に己の埒外を向いているのかなと思います。
常に、自分の手にできないものを求めている。
ギルガメッシュの「手に入らぬからこそ美しいものもある」
ルパンはすでにその辺にいるのかなと思います。
銭形も多分同じでしょう、麻薬工場なんて他のやつにくれてやるんです。いつでも検挙できるから。自分に検挙できないやつを追い続ける。
銭形も自分と並び立てる、好敵手を求めてルパンを追っていて、それも愛情に近いのかもしれません。