見るのが辛い作品でしたが、いよいよここからが本番ではないでしょうか。 ギルティクラウン 第18話 『流離:Dear ...』 のレビューです。
このところレビューを書くのをサボっていたのですが、それは金曜日が忙しいという事情もありつつ、内容的にややしんどかったという理由もありました。 僕は集に感情移入しているので、このところの、追いこまれて、孤独で、破滅した集を見るのがとても辛かったのです。
でも今回は、転換点だったと思えます。 このところの集は、彼の意志ではなく状況に突き動かされていました。 絶望的な状況の中でリーダーになった彼は、一人でも多くの人を助けるために、自分が暴君になってでも、責任を引き受けなければならないと考えていたのです。 自分が不甲斐ないばかりに、祭を死なせてしまったという自責の念もありました。
その後悔と重責のあまり、暴走気味でもありましたが、集があくまで自分のためではなく、人のために働いてきたことは確かです。 そしてそれは、彼らしさを殺していました。 そもそも彼は、葬儀社に加わったのは世直しがしたかったわけではなく、いのりがいるからでした。 一人の女の子を守りたいという想いで戦っていたのです。
うだうだと後悔するばかりで役立たずな集でしたが、いのりを失ったことで目が覚めました。 自分が戦う理由を思い出したのです。 力も仲間も、何もかも失った彼の逆襲が、これから始まります。 ようやく、集の主人公としての本領が発揮されるのでしょう。
涯は、なんのために戦っているのでしょうか。 以前、彼は好きな女を抱くために戦うのだと言いました。 真名のことですが、それは果たされたのか、果たされなかったのか、そのあたりの事情はまだ分かりません。 彼が日本政府と組んでいるのは、共通の敵である国際社会から日本を守るためなのでしょう。 守るために暴君になるという点で、彼は少し前の集と同じです。 そしてやはり、無理をしているのではないでしょうか。
集や涯が、仲間や日本のために自分を殺して戦っているのに対して、亞里沙は自分の恋心や私怨のために行動していて、愚かだと言えます。 祖父が可愛がっていた孫を斬り捨てようとしたのは、日本の存亡の危機だというのに、あくまで愚かな亞里沙が許せなかったからでしょう。 筋を通した彼は、確かにサムライでした。
敵味方の関係や背景事情がドラスティックに入れ替わるので、八方破れで収拾がつかなくなっているようにも見えがちなのですが、コードギアスR2も、その状況から見事にまとめてみせてくれました。 この作品も、めちゃくちゃやっているようで、収束させるベクトルは感じられるので、ここからの展開には大いに期待しています。
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2クールに入って集の置かれた状況は、生き残った個体を呪具に使うおぞましい蠱毒の呪詛を思わせて、鬱々たるものでしたので、このまま集といのりに、リア王と忠実なコーデリア状態で放浪でもされたら視聴をやめてしまおうかと思っていました。
ヴォイドが人の本質を反映したものなら、今の集自身には何の力もないということになりますが、彼にストレスを加えることによって、最強の武器に鍛え上げようとの意図がありそうですね。
もしそうなった時、自分の意志でそれを行使できるようになったなら、やっと視聴を続けてきてよかったと思えるようになると思います。
僕は『十五少年漂流記』であってほしいと思います。対立しつつも、最終的には救われるという。
茎道が圧力を加えるのは、「王」を生み出すためだと思われますが、その「王」の本命が涯なのか、集なのかは今のところわかりません。母親は、集には王に成ってほしくないようですが、茎道の真意はどうでしょうか。
僕は涯と集は二人で1セットの主人公だと思うので、あの二人が合わさることで「王」なのではと思うのですが、そこに行きつくまでにはまだ、いくつもの波乱があるのでしょう。