茎道の壮大な計画について考察。 ギルティクラウン 第13話 『学園:isolation』 のレビューです。
茎道とGHQは、環七の内側の都心部を隔離し、生存者(茎道によれば全員感染者)を”浄化”、つまり殲滅するという、強引な方針を打ち出しました。 そこまでやる理由は何でしょうか。
一つは、集たち葬儀社残党の存在なのでしょう。 なぜなら、セガイが意識しまくりだからです。 茎道の発表が待ち切れず、街のチンピラを使ってちょっかいを出したりしていました。 結果として、涯を失い、目的を失っていた葬儀社残党が再結集するキッカケになったのですが、これはセガイにとって計算外れなのでしょうか。 実は計算通りではないでしょうか。
集たちのことを別にしても、そもそもウイルスのバンデミック(感染爆発)は茎道が起こした自作自演なわけで、今回の環七内の隔離&浄化措置も、その計画のうちのはずです。 単に都心の住民を皆殺しにしたいだけであれば、もっとクリーンな手があると思えます。
仮説として、茎道たちは都心をアポカリプスウィルスの実験場にしようとしている、というのはどうでしょうか。 前回のセリフ、「新たな人類の始祖となる」からして、アポカリプスウィルスは単に人を殺すだけではなく、新たな人類を生み出す、つまり人を進化させる作用があると思われます。 大勢の感染者を閉じ込め、攻撃するなどの圧力を加えれば、そこから進化した存在が生まれるのではないか、という実験です。
進化を促す圧力を、『淘汰圧』と言います。 たとえば草食動物にとって、食べられる草が不足していて、食べられそうな木の葉っぱには届かない、という状況は淘汰圧になります。 木の葉っぱが食べられる、少しでも首の長い個体が生き残って子孫を残すことで、首の長いキリンに進化したわけですね。 人類もそうやって進化してきたはずですが、現代社会では生存競争がそこまで激しくないので、基本的には誰でも生き残って子孫を残すことが可能で、淘汰圧は低いと言えます。 なので人類はこれ以上進化しにくいでしょう。
感染者を閉じ込めて、そこに「優れたものしか生き残れない」という淘汰圧をかければ、確かに進化は促進される可能性があります。 進化するのは人間というよりは、とりついているウィルスの方かもしれませんが、それによって茎道の狙いである”アポカリプスウィルスによって進化した人間”が生まれるのかもしれません。
”淘汰”はキーワードですしね。葬儀社のモットーも、「淘汰されるものに葬送の歌を贈り続ける」でした。
セガイが集たちにこだわるのは、進化する個体の候補として筆頭格だからでは。 すでに集はヴォイドゲノムに感染して、進化した人類と言える存在になっていますが、あれもアポカリプスウィルスの研究の過程で生まれたもののはずで、さらなる進化に最も近いように見えます。
この仮説が正しいとすれば、セガイたちは今後も集にちょっかいを出し続けるのでしょう。 最初は殺さない程度にしつつ、圧力を強めていくのでは。 革命家になるつもりは無かった集ですが、否応なく戦わなければならない状況に追い込まれるようです。
環状七号線の内側を封鎖、という設定はちょっと面白いですね。 というのも、首都圏で大地震が起った場合、環七の内側は自動車通行禁止になるという決まりがあるのです。 都心の道路にはあちこちに、「この道路は震度6以上の地震が発生すると通行禁止になります」という標識があります。 これは救難や消火をスムーズにするためでしょうけれど、見方を変えれば、都心の住民は自家用車で逃げることを禁止され、閉じ込められるわけで、どうなのかなと以前から思っていました。 そういう現実とさりげなくリンクしています。
今回は綾瀬が印象的でした。 涯を失ったショックと、それからの立ち直りを、彼女を通して描いていましたからね。 綾瀬が前向きになったことで、集や周囲の人々にもいい影響を与えています。 あまり悲壮感を見せず、ラフに構えて巨大なGHQに立ち向かうのが葬儀社らしいはずで、そんな活躍が再び見られることを期待しています。
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