メルクマール

この作品のレビューを書くのは初めてなので、まず全体的なことから。　『Fate/Stay Night』の前日談ということですが、Stay Nightはアニメは見ていますが、ゲームはしていません。　かなり以前に見たので、内容は忘れ気味です。

設定の特徴は、「過去の英霊（英雄）を召喚して戦う」ということですね。　英霊キャラには既存の歴史があり、例えばアーサー王は、あと一歩でローマを征服できるというところで、身内の裏切りで命を落としてしまった、という歴史は共通認識としてあります。　その無念が彼女を動かしているのだろうなぁ、という背景があることで、物語に厚みを持たせていますが、それは枷でもあり、ヘタをすると元のキャラに負けてしまうでしょう。　まだ各キャラは紹介程度なので、今後に注目でしょう。

『Fate/Stay Night』は学園ものだったのですが、『Fate/Zero』の登場人物はもっぱら大人です。　学園ものもいいけれど、十代の子供が大魔導師というのはやはり無理があるわけで、長い歴史を持つ魔導師一族の抗争、というドロドロした雰囲気を出すには、大人である必要があったのでしょう。　キャラ萌えやハーレム設定に頼らずに物語を盛り上げなければならない、渋い設定です。

3話までは、魔術師たちの準備と探り合いという、わりと地味な展開だったのですが、それでも緊迫感があって楽しめました。　そして4話は、満を持してのバトル回です。　最初から最後までバトルなのは驚きましたが、見ごたえありましたね！　

伝奇バトルもののアニメは多くありますが、人物が凝った動きをするシーンは極一部で、ほとんどは魔法エフェクトによって派手に見せています。　でも今回のセイバーとランサーのバトルは、魔法は武器に付加された属性的なものであり、あくまで肉体と鋼鉄をぶつけ合ってのバトルなので、この作画は大変だったと思います。　重厚感とスピード感を併せ持つ、素晴らしい剣戟シーンでした。

今後も、情報戦とバトルが交互に行われる展開なのでしょうね。　各英霊の正体は、視聴者には明かされていますが、マスター同志はまだ知らないようで、セイバーについてはマスターの正体さえ秘匿しています。　敵の裏をかいたり、そのまた裏をかいたりという頭脳戦を描くのは、ストーリーを考える人にもその”頭脳”が必要です。

つまり、キャラもバトルもストーリーも、まったく手を抜いたり誤魔化したりする余地のない、ガチな作りこみが要求される作品でしょう。　これを成り立たせるのは大変だと思えますが、4話まで見た限りでは、今後も期待できそうです。　素晴らしい作品になる予感。

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