メルクマール

この作品は、人間関係をミスリードさせるのが好きですよね。　1話では、翔子と未来と智の関係に意外性がありました。　2話と3話では、メオの父親は娘を置いて逃げた人でなしだと思わせておいて、実はという話でした。

今回は、二人の”犯人”の関係がミソでした。　鳴海たちは、二人は共犯だと考えていて、でもそのサラシ泥棒は、もう一人の犯人（グラサン男）はミンの家の家族だと考えていて、事実はどちらとも違っていた、という話です。

ラーメン屋を舞台にしたドラマということで、伊丹十三監督の映画『たんぽぽ』を思わせるし、間違いなく意識しているでしょう。　亡き夫の後を継いで、ラーメン屋を営む女性が、ラーメンにうるさい客に認められるラーメンを作るまでのドラマです。　うるさ方の連中が、スープを残さず飲み干すようなラーメンを作ることが、彼女の目標なのでした。

ミンさんは、グラサン男に認められることが、父親の味を守れているかどうかの試金石と考えていたのでしょう。　でも実は、そのグラサン男こそが父親だった、というのは確かに面白い話で、これがやりたいから、実の父親の顔に気づかないという、やや無理のある設定になったのでしょう。

なぜ父親だとわからなかったのか、また、なぜ監視カメラに写らなかったのかは、謎のままで残りました。　少佐は、父親は特殊機関で訓練を受けていて、姿形を変えて戻ってきたと言いますが、実際、それくらいしか思いつかないですよね。　父親がスープを入れていた水筒は、旧日本軍の水筒に見えました。

これは伏線で、この先、あの父親もニート探偵事務所のメンバーになったりして…。

例によって、なかなかひねったストーリーだし、今回はアリスの可愛いところも見られたしで、いい短編でした。

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