メルクマール

タイムマシンで単身過去に富んだ鈴羽のおかげで、ダイバージェンス値が少し増加し、まゆりが殺される日が一日遅れになりました。　でもまだ、死を回避するには足りません。　もはやタイムマシンは無いので、岡部はタイムリープとDメールを駆使することで、何とかする必要があります。

タイムリープは、タイムリープマシンが完成した日から2日前までしか戻れないという制約があります。　その代わり、岡部自身が過去に戻ることができるので（と認識するので）、自分の行動をどうにでもやり直すことが出来るし、調整もできます。

Dメールは、過去の携帯電話、あるいはポケベルにメールを送ることができ、つまり最大で30年くらい前からの過去を変えることができます。　でも、過去でメールを受け取る人の行動に影響を与えるだけなので、思い通りの結果になるとは限らず、予想外の副作用が起りがちです。

IBN5100が行方不明になったのも、その副作用と言えるでしょう。　なので、岡部はこれまでのDメールを取り消すことにします。　「1回の実験で変更するパラメーター（要素）は1つだけ」、という鉄則があります。　2つの要素を変更したら、結果が出ても、どちらが有効だったかわからないからです。　これまで複数のDメール実験を行ったため、結果だけ見ても何が効いたのかわからないので、Dメールを取り消すことで、変更したパラメータを減らすのは、正しいアプローチでしょう。

フェイリスは、Dメールで改変する前の記憶を取り戻しましたが、なぜでしょうか。　本来、世界線は互いに干渉せず、別の世界線のことは不可知であるはずです。　この世界線のフェイリスと、強迫メールを送ったフェイリスは別の世界線にいるので、この世界線のフェイリスには強迫メールを送った記憶は無いし、それを思い出す術はありません。　本来ならば。

でも、岡部というイリーガルな存在がいます。　彼は世界線を超えても記憶を保つので、本来無理なはずの、別の世界線との接点に成り得ます。　フェイリスが記憶を取り戻したのは、岡部の影響に違いありません。　思い入れのある空間にいて、かつ岡部が側にいるという状況がそろったことで、別の世界線の記憶が、岡部を通して流れ込んだのではないでしょうか。

つまり、フェイリスは岡部の影響でリーディングシュタイナーを身に付けたとも言えますが、ならば岡部はどうなのでしょう。　彼は過去に不思議な体験をしたようですが、その時にリーディングシュタイナーの持ち主に会っていて、その影響で彼もリーディングシュタイナーを身に付けたのかもしれません。

前回に続いて、ほろ苦いストーリーですが、フェイリスの明るさが救いでした。　あの様子からして、フェイリスはDメールを送る前の、岡部との記憶を保持しているのでしょうね。　これまではどんなにフラグを立てても、過去を改変したら水の泡でしたが、初めて報われたとも言えます。

ところで、他の登場人物はリーディングシュタイナーを持っていないのでしょうか。　クリスは無さそうですが、まゆりは？とかふと考えています。　妙に勘がいいのが気になることがあるのですが、勘ぐりすぎかもしれません。

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