ヒーローの光と影。 TIGER & BUNNY 第16話 『Truth lies at the bottom of a well. (真実は井戸の底にある)』 のレビューです。
レジェンドには何か秘密があるのだろうと思っていましたが、そう来たか、という感じですね。 レジェンドは虎徹にとってのヒーローですが、素顔の彼は、決して無謬の人物ではありませんでした。 だがしかし、レジェンドの正義感は本物だと思えます。 市民を守るために戦うという使命感は、心からのものでしょう。
そんな彼が、八百長に手を染めたり、家庭内で暴力を振るうほどに荒んでしまった理由はなんでしょうか。 おそらく、能力が次第に失われることの焦りが、そうさせたのでしょう。 もう歳だからと諦めればいいのですが、使命感が強すぎるばかりに、間違った方向に暴走してしまったのでは。 そして同じことが、虎徹にも起こる可能性があるという恐怖感があります。
レジェンドがああなってしまった理由は、ある程度の年齢の人でないと理解しがたいかもしれませんが、僕は身につまされます。 人間の生物的なピークは20代までで、そこからは衰えていくしかありません。 以前は出来ていたことが、出来なくなったことに気づいたとき、俺はこうして老いていくのだなと思い知らされるのです。
人はみな、その焦りや淋しさと、うまう付き合うしかないのですが、能力がすなわち存在意義であるヒーローの場合、普通の人よりもずっと辛いのでしょう。 ましてや一日毎に、目に見えて発動時間が短くなっていくわけで、それを克明にメモする虎徹の冷静さに、僕はむしろ感心しました。 僕なら正視できないと思うからです。 あの精神力があるなら、虎徹はレジェンドの轍は踏まないのかもしれませんが…
この作品のテーマの一つは”家族”だろうと前から書いてきましたが、ここにも家族があったのですね。 レジェンドとユーリ、そして母親。 実に不幸な一家です。 彼は罪を背負っていることを自覚しているから、死神のような不気味な装束で、マスクに父親の手形を刻んでいるのですね。
ユーリに救いがあるとすれば、父親と同じ立場で苦しんでいる虎徹の存在でしょう。 虎徹はオッサンの星になってくれると信じています。 でもあとしばらく、この辛い展開は続くのかもしれません
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レジェンドも正視していたと思います。
だからこそ、最後のおいしいとこだけだったのではないでしょうか。
残っている力をほんの数分につぎ込んでいた。
人間全てにいい顔はできない、彼はいい夫、いい父親その顔を捨ててその全てをヒーローとしての一瞬につぎ込んだのではないでしょうか。
レースアニメでタイムアタックのシーンですが
「なぜアタックしないの!上位は何秒台に入っているのよ!」
とオーナーに言われて
「そんなもんじゃきまらねぇ、何秒きらなきゃ頭はない」
そんなこと…
ありえないとばかりにいうオーナーに
「出してくる、あいつは必ず出してくる」
そしてそのあいつがコースレコードを出した後(何周もアタックして)に飛び出ていってたった一周でさらにだれも追いつけないであろうタイムでコースレコードを塗り替えトップにたつ
というシーンがあるのですがそれと同じことをしていたのかなと思います。
体力は20代がピークかもしれませんが、仕事の仕方(動き)に本当に無駄がひとつもないという人はそうそういないと思います。何だかんだいっても結局のところ有り余っている体力を無駄につぎ込んでいていることもかなりあります。
そういう部分をみなおせば20代の7,8割、よほど無駄があった場合1.3倍位に仕事をこなせたりします。
よくいう名人とかの話ではないですが木を決められた厚さにするにしても、名人は一度目で0.?mmまで二度目で仕上げて会寸法どおりなのを確認して終わり。名人でない人は一度目で大雑把に二度目で近くまで三度目で仕上げて、測って4度目で手直し。とかしていると名人のほうは軽く二倍位仕事ができてしまうということになる。
その話ではないですがそういう部分を見直してレジェンドは衰えてなおトップをはっていたとは考えられないでしょうか、それでも足りない力を補うため犠牲にしたのが家族でありいい父親、いい夫なレジェンドなのではないかなと思います。
犠牲者にとってはただのレジェンド擁護にすぎませんが…
普通の仕事は、体力だけではないですからね。おしゃるとおり、経験を積んだ老職人が、若者よりも早く仕事をこなすといったケースは多くあるでしょう。 ただヒーローは、能力が失われてしまったらどうにもならないと思えます。 あるいは、今の能力が無くなっても、代わりの能力が発動したりするでしょうか。ジェイクはマルチ能力者でしたが…
世間はKOHであるレジェンドの活躍を望んだでしょうが、他のヒーローが台頭すればそちらを支持するようになります
かつてはスカイハイがもて囃されていたけれど、今はバーナビーの活躍に市民が熱狂しているように
あくまで市民を守るためであれば、今の虎徹がやっているように、活躍出来るヒーローのアシストに廻ればいいのですから
なので、レジェンドの末路はやはり彼自身の心の問題だと考えます
かつての彼自身の言いつけを守ろうとした息子に焼き殺されたのは、皮肉な話ですが自業自得であるとも言えます
とはいえ、能力の衰えに焦り、悩む自体は当然の事であり、あそこまで追い詰められてしまったのは人間関係に恵まれていなかったのかもしれません
虎徹の場合はベンさんが気にかけてくれてますし、同僚達も真相を知れば同じように心を砕いてくれるでしょう
ヒーローの中のヒーローであったレジェンドは、皆から尊敬されていても、家族にしか弱い姿を見せられない孤独な人だったのかもしれませんね
完全になくなってしまえばそうかもしれません。
しかし少しでも残っているなら戦い方はあるってことです。
今回の虎徹ですが残り二分になっているならそれなりの戦い方をしなければならない。
わざわざ犯人に声をかける必要があったでしょうか。
犯人かわからないなら犯人になるまで待てばよかったんです。
女に手をかけたその瞬間に音も立てずに背後から締め上げ逮捕するそれなら2分あれば十分なんです。
犯人と追いかけっこをバーナビーと一緒になってすることはないんです。
犯人が自分が確実に逮捕できる範囲に入る瞬間を待てばいいんです。
Cで三國が言っていた「自分を秤に相手を測れ」真朱のいう「やり直し、あんたはこんなに動けない」ではないですが無駄なことはいっさいしない自分が確実に犯人を仕留められる時をまつ。それができれば多分1分もいらないんです。
ただし、レジェンドや虎徹のようなヒーローには地獄の時間です。仲間が死のうが、市民にどれだけの被害がでようが見ていなければならない。
真朱がどれだけ傷ついても攻撃を待たなきゃいけないといったほうがわかりやすいかもしれませんが…
たぶん本物のヒーローなら心をすり減らし、最期には心を病んでしまう地獄の道。
完全に失われてしまっていなければそういう道でならヒーローを続けることができるという話です。
そしてそれこそが若いヒーローに見せるべき姿なのかなと思います。
犯人と銃撃戦したり追いかけっこしたりするのが仕事じゃない、テレビに長く映ってスポンサーの宣伝するのが仕事じゃない、犯人逮捕するのが仕事なんだ。犯人を捕まえればテレビに映る宣伝にもなる。お前らのは動いて仕事をしている気になっているだけで全て無駄なんだ。いいとこ取りだと思うなら俺の前に逮捕して見せろ、できないならがたがた言うなって感じに若手を斬って捨てる位の姿を見せてほしいかなと思います。
下手に引き際よくバトンタッチするのではなく、トップはりたきゃ奪い取れ的な虎徹の方がバーナビーにとっては今後のためにはなるのかなと思います。
父を殺めてしまったことでヒーローの道を選べず、幽鬼のような姿で歪んだ正義を行使する存在になったのなら哀し過ぎます。
バーナビーもキースも炎によって家庭を喪失してしまったというトラウマを抱えていますが、虎徹はちょうど当時の彼らの父と同じくらいの年齢ではないでしょうか。崩れかけてもしっかり立ち直って、彼らを救い上げる存在になって欲しいところです。
そしてマーベリック氏が真犯人であるなら、ヒーローの夢を壊さないために、暗部は隠されたまま姿を消してしまう可能性もあるでしょうか。
レジェンドやシスのように、明らかにされるべきでない真実というものもありますからね。
レジェンドに心の弱さはあるでしょうけれど、悪気は無かったと、僕は思っています。 まだまだ若いものには任せられなくて、おれがヒーローとして頑張らねばならないのだ、という使命感に囚われていたのでは。
もちろんその根底には、実は孤独な人で、息子とも心が通っていなかったという、闇の部分はあるのでしょう。
■野良猫さんコメントありがとうございます!
レジェンドも、同じように考えたのではないでしょうね。若いものと一緒に追いかけっこする必要はなく、最後だけ決めればいいと。それは見方によっては八百長なのでしょう。
虎徹がどう振舞うかは、興味のあるところです。 レジェンドとは違う道を選ぶと思うのですが…
■こにぃでさんコメントありがとうございます!
そうですね、ルナティック(キチガイ)という名前は、それで自分を罰しているのでしょうね。
ユーリは、父親に言いたいことがあってももう言えないわけですが、その身代わりとして虎徹が受け止めることができれば、ユーリは救われるのかもしれません。