メルクマール

最近、アニメオリジナル作品が流行ってますよね。　『Angel Beat！』や『まどかマギカ』を始めとして、最近のいくつもの作品が人気を得ています。　僕は常にオリジナル作品を応援していますから、この風潮は喜ばしいです。

『ストーリー性のあるエンターテイメント』はいろいろあります。　小説、漫画、映画、アニメ、ゲームなど。　その中でも、アニメは最も自由度があるかもしれません。　小説は文章だけだし、漫画は静止画でコマ割りの制約もあります。　映画は実写なので現実に縛られ（CGがメインの映画はアニメの範疇でしょう）、ゲームはゲーム性が要求されます。　アニメは、映像、音響、ストーリーを駆使して、少ない制約で、クリエイターの世界を表現することが出来るのです。

だから、オリジナルが望ましいと思うのですよね。　原作がある場合、原作の小説や漫画は、それぞれの制約の元に最適化されているわけで、それをそのままアニメ化してもアニメの特性を生かしているとは言えません。　アニメならではの表現を加えて、素晴らしいアニメ化をしている作品も多くありますが、どうせなら、最初からアニメに最適化したストーリーや設定のほうが望ましいはずです。

前置きが長くなりましたが、この作品はまさに、アニメオリジナルであることを最大限に生かした作品だと思えます。　日常的な風景から始まって、途中から非日常に巻き込まれていくのですが、その日常から非日常の遷移や、非日常の表現が、映像と音響の融合によるイマジネーションにあふれていて、さらにそれが、ストーリーやセリフに説得力を与えています。　まさに、総合エンターテイメントのアニメの魅力でしょう。

登場人物も魅力的です。　しっかり者の弟と、ちゃらんぽらんな兄という図式なのですが、有事に強いのは兄で、二人の対比がいいですね。　もちろん妹もいい。　僕はロリロリしたヒロインはあまり好きじゃないのですが、このキャラは芯がしっかりしているところが健気さを引き立てていて、とても良いです。

モノローグと、そこから垣間見えるテーマ性もいいですね。　何度も繰り返された、難しいテーマではありますが、この作品ならば、なにか新しいものを見せてくれる気がします。　

通りすがりの子供が、『銀河鉄道の夜』について語っているシーンがありましたが、宮沢賢治の世界観を下敷きにしているのかもしれません。　動物や宇宙のモチーフは、それを感じさせます。　まどかマギカが『鏡の国のアリス』で、この作品が『銀河鉄道の夜』だとしたら、東西ファンタジー対決という視点も面白いでしょう。

絶賛しましたが、それが惜しくないくらい、僕の感性にピピっと来ました。　切なくて、ユーモラスで、重たい。　今期はこれと『神様のメモ帳』で幸せになれそうです。

ポチっとして頂けると励みになれます！↓