メルクマール

今や、岡部はマッドサイエンティストのポーズを完全に捨てて、後悔しています。　まゆりのために演じていたのに、そのまゆりが自分のマッドサイエンティスト気どりの犠牲になったわけなので。　彼の辛い心情は理解できます。

クリスは、そんな岡部を励まそうとして、昔の岡部の真似をします。　あれだけウザいと言っていたのに、あの時の岡部が実は気に入っていたのですね。　クリスの優しさと愛情が伝わって来て、このシーンのために、岡部のマッドサイエンティスト設定があるのだなと思えるくらい、いいシーンでした。

サブタイトルまぎらわしいですね。　前回とダブっていると思ってしまいましたが、前回は形而”上”で、今回は形而”下”です。　形而下ってあまり聞かないですが、抽象的という意味の”形而上”に対して、具象的ということみたいですね。　ネクローシスは”壊死”という意味ですから、前回が”抽象的な死”で、今回が”具体的な死”という意味なのでしょう。　まゆりの死が、避けられない決定事項になりつつあることを表しているのでは。

でも鈴羽は、未来を変えることは出来るといいます。　『ダイバージェンス 1%の壁を超える』ことで。　ここから、いかにしてダイバージェンスの壁を超えるかという展開になるのでしょう。

そのための手掛かりになるのが、ダイバージェンスメーターですね。　現在の世界線が、前の世界線とどれくらい違うのかを示すという、おそるべき秘密道具です。　おそらく、岡部が何か選択をするたびに数値が変化し、なるべく数値が大きくなるような選択肢を選ぶということなのでしょう。

ダイバージェンスメーターはどういう仕組みでしょうか。　ある世界線と他の世界線は、タイムリープしない限りは干渉しません。　別の世界線のことは不可知なので、世界線同士を比較して数値化するのは、普通に考えれば不可能です。　

でも鈴羽は、岡部が世界線を移動しても、前の世界線の記憶を保持する性質を利用すると言っていました。　つまり、その世界線に生きている未来の岡部が、前の世界線との違いを、何らかの評価方法で数値化しているのでしょう。　そしてDメールと同じ仕組みで、過去の自分が持っているダイバージェンス・メーターに数値を送っていると考えられます。　なるほど、それなら可能です。　こういう細かい仕掛け（ガジェット）が面白くて、SFの醍醐味がありますね。

岡部が4時間過去にしかタイムリープしないのは、なぜかなと思っていました。　48時間まで行けるということだったので、最大限まで過去に戻った方が、まゆりを助ける時間的余裕があります。　でも、タイムリープマシンを作るよりも前に戻っちゃダメなんですね。　それをやると、タイムリープマシンが完成しない可能性があり、もしまゆりがそれでも死んだ場合、やり直す手段が無くなってしまいます。　だから大きくは戻れない制約があるわけで、これもナルホドと思いました。

とはいえ、タイムリープマシンが無ければ、まゆりが死ぬ理由は無さそうにも思えます。　だからそれに賭ける手もありそうですが、鈴羽はそれはダメだと言い切りました。　彼女はきっと、岡部のタイムリープを利用したくて、その利害からも止めたはずだから、完全には信用できません。

鈴羽がタイターなのは、以前からバレバレでしたが、ようやくぶっちゃけました。　彼女の目的は岡部とは違うはずで、両者は共闘できるのか、あるいは。　登場人物の立ち位置がようやくはっきりして、盛り上がってきました。

ポチっとして頂けると励みになります！↓