メルクマール

当初は、働くことの意味が見つけられなかった緒花ですが、このところ、自分が役に立っているという手ごたえから、「わたしが喜翠荘を立て直す」という気合いで、がむしゃらに働いていました。

でも、自分がいなくても喜翠荘が普通に回っている様子を見て、いろいろ考えてしまいます。　がむしゃらにやってきたことは、もしかして意味が無かったのではと。　ならば、そもそも働く理由なんてあるんだろうかと、弱気になってしまった。　熱のせいもありますが。

そんなときの逃げ場が「孝ちゃん」なんですよね。　弱い自分でも甘えさせてくれる避難場所です。　でも孝ちゃんがいるのは、鳥居が並んでいて、座敷童やキツネがいる、「あの世の入口」みたいなところでした。　そこに逃げ込んだら自分はダメになるという、緒花の潜在意識から、そういう描写なのでしょう。　つまり、「孝一は過去の人」というフラグが立ってしまったようですね。　気の毒なことです。 　

最初のうち、緒花は周囲から浮きまくっていて、いまでも多少浮いていますが、居ないとさびしい存在になれたようで、いろんな人が気遣ってくれます。　それに気付いた緒花は、自分が働く理由が「喜翠荘のために」でなくても構わないと分かったのでしょう。　「喜翠荘が好き」という理由で十分なのです。

今回のヒロインは、むしろ民子だったかもしれませんね。　徹が緒花を意識しているのが、気掛かりのはずだけれど、でも「倒れるほど頑張った」緒花を恨むことはできなくて、むしろ優しくしてしまう。　不器用なだけで、とてもいい子だと印象づけました。

喜翠荘の面々が、それぞれのやり方でお見舞いをするのが、ちょっとしたコメディになっていますね。　菜子はいちいちテレビを点けるのですが、自分の家ではこうだからという、マイペースっぷりが彼女らしいわけで、なにげないディティールだけれど面白いです。

特に盛り上がりは無いのですが、喜翠荘のゆかいな人々と、緒花の心境の変化（進化？）を描いた、いいエピソードでした。

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