メルクマール

この物語を最初見たときは、可愛そうな女の子の幽霊を成仏させるという、よくあるお涙頂戴ストーリーだろうと思っていました。　でも今では、認識を改めています。　子供時代の懐かしい風物が出てくるのは、単なるギミックだと思っていたのですが、そうではありませんでした。

この作品のテーマは、大人になることの苦しみだと思うのです。　誰しも、子供から大人になるわけですが、そこには壁があって、大なり小なり、難しさがあったはず。

この作品の登場人物にとっては、「めんまの死」という大事件が、それをさらに困難なものにしています。　子供の頃、仲良しグループで満ち足りた時間を過ごしていたとしても、成長するにつれ、だんだん疎遠になるものです。　そうやって、大人になっていくのです。　でもあのグループは、めんまの死によって突然中断してしまったため、だんだん疎遠になるという課程を経ることができませんでした。　あの日で子供時代が凍結、あるいは”サスペンド状態”になってしまったのです。　

彼らが正常に大人になるには、まずは仲良しグループを再起動させて、そのあとで、発展的に解消させる必要があるのでしょう。　めんまも、超平和バスターズも、「わすれてわすれない」、過去のものにする必要があるのです。　それが、めんまが現れた理由だと思えます。　

じんたんの前に現れた理由は、彼がグループのキーマンだからですね。　実のところ、他のメンバーは、めんまというよりはじんたんに囚われています。　ゆきあつはじんたんへの劣等感から抜け出せないし、あなるは「かつてのカッコよかったじんたん」から卒業できないし、ぽっぽは気ままに生きているようで、じんたんの子分でいたいと思っている。　つるこはまだよくわかりませんが。

だから、じんたんが、『超平和バスターズ』を再起動させて終わらせる必要があるのです。　それには、じんたんがヘタレから脱却しなければならないのですが、今回やっと、いいところを見せましたね。　あの正義感と行動力と機転は、確かにリーダーにふさわしかったのでしょう。　ここから、じんたんが大人になっていく過程を楽しめそうですが、それはある種、淋しいことでもあります。　この物語の通奏低音は、大人になることの淋しさだから。

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