メルクマール

カリーナみたいなタイプの若い人は、よくいます。　「真面目だけれど、責任感が無い」というタイプですね。　両者は別のもので、実は両立が難しい部分があるのです。

カリーナがやる気を無くしたのは、ただ単に「評価されない」からではなく、「ちゃんとやっても評価されない」からです。　彼女は真面目なので、言われたことを自分に出来る範囲でやっているのだけれど、不測の事態（今回の場合、犯人がサブマシンガンを持っていたこと）で対処できなくなり、任務に失敗してしまった。　真面目な人は完璧主義者ですから、自分にコントロールできない部分で失敗するのは我慢ならないことで、「自分は悪くない！　自分はちゃんとやった！」と考えてしまうのです。

カリーナは決してチャランポランなわけではなく、真面目さゆえに、やる気を無くしたのでした。　虎鉄も最初のうちは、「いまどきの若いもんは」というノリで説教していましたが、カリーナが歌手として真剣に取り組んでいるのを知り、「この子は真面目なんだ。だからこうなんだ」と気づいたのですね。　それをわかってあげる余裕が、大人というもので、虎鉄はいい大人です。

虎鉄は、ヒーローとしての責任感を持っています。　責任感がある人は、自分のせいではない不測の事態が起こっても言い訳しません。　ドロを被ってでも、自分がやるしか無い、報われなくても仕方ない、という使命感で動きます。　それは、何事もコントロールして完璧にやりたい真面目な人には耐えがたいことなのだけれど、世の中は、そういうかっこ悪さや理不尽さで満ちてみるものなのです。

カリーナは、真面目さゆえの責任感の無さに陥っていましたが、虎鉄からヒーローとしての使命感を学びました。　完璧じゃなくても、かっこ悪くても、スポンサーに責められても、ヒーローは使命を果たせばいいのだと学んで、むしろ救われたのではないでしょうか　彼女は確かに成長したのでしょう。　そしてそれを、言葉ではなく、生き様で示す虎鉄がとてもかっこいいのでした。

普段はおちゃらけているのに、いざというとき一瞬だけ真剣になるのもかっこいいな。「邪魔するなよ」とか。　バーナビーも、徐々に虎鉄に一目置きつつあるようです。　あの二人はどう見ても、似たもの同士ですしね。　

今回も直球なストーリーでしたが、心理面がしっかり描かれているので説得力がありますね。　依然としてクオリティの高い作品です。

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