メルクマール

最大の伏線は、王子の「女性嫌い」だと思えます。美歩のことを「顔からして◎×△な雌」と呼んだりと、女性蔑視的な態度を当初から見せていました。　戦隊物には女性隊員がつきものですが、カラーレンジャーは男の子だけでした。　ルナ王女への態度も、「女なんて下らない生き物だ」という蔑視を隠していませんでした。でもルナ王女は、そんな王子を変えることに成功したのです。

王子を地球の監督官にしたり、ディスクン星人を味方につけたり、地球の「卒業」を銀河連盟に計らったりしたのは、すべてルナ王女がやったことなのでしょう。すごい交渉力ですね。敵であるはずのマグラ自由同盟さえ丸めこみ、王子をまんまと騙すことに成功したのでした。

これには王子も、兜を脱ぐしかありません。結婚に消極的だったのは、女なんて面白くないと思っていたからで、面白い女性であればウェルカムのはずです。王子は幸せになったのでしょう。

王子は人望はあまり無いようですが、推理したり陰謀を働いたりする頭脳はあります。今回も、限られた情報から、真相にかなり肉薄していました。王女の性格を読み違えたのが誤算だっただけです。やはり、王子はすごいと言えます。

そして、ルナ王女の交渉力や、人々を味方につける人望は凄いわけで、このカップルは最強ですよね。今後がとても楽しみですが、ここで終わりということで残念です。

それにしても、ルナ王女は魅力的でした。最初に登場したときは、テンションが低く、いかにも深窓の令嬢という感じでしたが、それと回想シーンでの幼いルナ王女とのギャップは不審に思ってはいたのですよ。　子供の王女は、明るく茶目っけがあり、才気にあふれていました。なのになぜ、あんなぼんやりした人物に成長したのかと思っていたのですが、あれも演技だったと。

王子のことを一途に思っていて、王子がほくろを覚えていたことに有頂天になる様子も、とても可愛いじゃないですか。僕はこの作品は、ヒロイン不在が残念だと前から書いてきたのですが、最後の最後にヒロインが登場しました。焦らしすぎですが、これも、作者の人を食った持ち味なのでしょう。

古い原作を今になってアニメ化ということで、特別な思い入れがあるのだろうなと思っていたのですが、実際、制作者がこの作品が大好きなことが、原作を知らない僕にも感じ取れる作品でした。原作も読んでみようと思います。

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