メルクマール

禁書目録のエッセンスが詰め込まれた、いい最終回でした。超能力バトルがあり、上条さんの熱い説教があり、能力者と無能力者の軋轢という作品のテーマについても語られました。また、学園都市自体の秘密にもいよいよ迫るようで、続きが気になるヒキでした。もちろん3期はあるのでしょう。

当麻とアクセラレーターを見ていて、ジェフリー・アーチャーの『ケインとアベル』や、『メディア買収の野望』を連想しましたね。二人の対称的な主人公を設定して、それぞれのストーリーを独立して描きつつ、しばしば二人の人生が交錯し、最終的にはライバルとして争うという構成です。

バトルものには魅力的な敵役が必要だ、とバクマンで編集者が言っていましたが、この構成では、二人の主人公の魅力をじっくり描いて、最終的にそれぞれが敵になるわけなので、対決がすごく盛り上がるわけです。

当麻とアクセラレーターは、最初からライバルだったので少し違いますが、その後は直接的には関わらずに、独立して動いています。でも、しばしば二人の行動は交錯していて、視聴者をやきもきさせてくれます。この構成はとてもうまいですよね。

気になるのは、すれ違いの末に、二人再びライバルになるのか、ということです。盛り上げるには、そうであるべきでしょう。でも心情的には、味方であって欲しいとも思うので、複雑なところです。

当麻は、あくまで「学園都市の友達と、その普段の生活を守る」という指針で行動しています。これは、学園都市首脳部の目的とも一致しているので、当麻は泳がされているようです。

アクセラレーターの目的は、ラストオーダーを守ることと、「上の連中」に反抗することですね。でも、当面は「上の連中」に従って、下請けの仕事をしています。「上の連中」の目的が、学園都市を守ることであるならば、ラストオーダーを守ることにも繋がるので、協力できるのでしょう。

でも、本当に「上の連中」が学生たちのことを守ろうとしているのであれば、戦争を避けて疎開させるべきですが、それは阻止しようとしています。ローマ正教と戦うためには、学生たちで形成されているAIM拡散力場が必要なのでしょうね。そもそも学園都市という存在が、『子供たちの能力開発のため』という目的は二の次で、『AIM拡散力場の発生プラント』としての目的が第一義なのでは、と思えます。

そうなると、上の連中の目的と、当麻やアクセラレーターの目的とはズレてくるのでしょう。でも二人はまだ連携していないので、上の連中と本格対決するタイミングによっては、二人が互いに戦う状況にもなりかねません。やきもきさせてくれます。

この作品、1期は正直、評判ほどには面白くないと思っていました。「科学と魔術が交錯する」という設定が生かされているとは思えず、単発的なエピソードがあって、登場人物が場当たり的に行動しているだけに見えたからです。

でもここへきて、さまざまなエピソードのつながりや、物語世界の全体像が見えてきました。多くの登場人物たちも、それぞれが魅力を発揮して、物語世界の中で居場所を作っています。まさに、ここからが面白くなるのでしょう。続きを大いに楽しみにしています。ストーリーだけでなく、演出や映像や音響のレベルも高い、良い作品でした。

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