メルクマール

遅くなりました。わけあって多忙なので簡潔に。
いわゆる”ロボットもの”では、主人公の成長と葛藤がテーマになるわけですが、この作品では、それをタクトとスガタが別々に担っていると言えます。ダブル主人公ですね。

タクトは、たしかに成長しているわけです。彼は、確たる目的は持たずに島を訪れて、そこで目的を発見しました。「やりたいこと」と「やるべきこと」を見出したのです。そして幾多の戦いと、スガタの特訓の成果もあり、着実に強くなっています。

でも、彼に葛藤はあまりありません。スタガとの友情と、ワコへの恋愛とを秤にかけて悩むこともなく、まっすぐにワコのことを想っています。揺らがずに真っ直ぐなところが、彼の最大の魅力であり、武器でしょう。

葛藤しているのはスタガです。彼は葛藤の塊ですね。ワコとタクトとの間でも葛藤しているし、自分の力を封印するか、解放するかでも葛藤している。前回に続いて、今回も彼の葛藤が描写されました。

彼は、ケイトを殺そうとしましたよね。ケイトの封印が解けなければ、問題は彼らの次の世代に持ち越されるので、ケイトを殺して全てをチャラにしようという誘惑に駆られてしまった。ケイトも、スガタに殺されるなら、それはそれで本望だと思っていたようです。

でも、スタガは殺せませんでした。ケイトへの愛着、あるいは憐憫もあるだろうし、ザメクのドライバーになり、力を手に入れることの執着もあったかもしれません。それはそのまま、彼が綺羅星十字団に所属する葛藤でもあるはずです。

かくして、ザメクが復活して、両主人公が対決する舞台が整いました。”成長”のタクトと、”葛藤”のスガタ。ドラマの行方はどうなるでしょうか。

あと、今回の個人的MVPはカナコですね。「なんのために、こんな大きな船を持ってきてると思ってるの」というセリフがカッコ良すぎる。震災の後だけに、特にジーンと来ました。彼女にとっては縁の無い島民の人命救助のことを、最初から考えていたのですね。彼女はこの作品の良心で、唯一の大人ですなぁ。「おとな銀行」と名乗るだけはあります。

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