メルクマール

なぜ異世界に飛ばされたのか、どうすれば戻れるのか、というサスペンス仕立てですね。また、世の中のオカルト現象の、ある程度は宇宙人のしわざというのが、この作品の世界観ですが、それを補強するエピソードでもありました。

結局は、宇宙人は関係なくて、誰かの”超能力”のせいだったようです。試合のイメージトレーニングに極度に集中したことが、異世界を作り出し、他のメンバーを吸いこんでしまった。「いいイメージ」を作るために、甲子園で松川商業と試合することをイメージしていたのでしょう。

どうやって戻るのかなと思っていたのですが、飛ばされたメンバーが試合に集中したことで戻れた、ということのようですね。

超能力を発揮したのは、誰だったのでしょうか。試合前の円陣での会話が、そのヒントになるでしょう。

主将　「松川商との決着は、こっちで付けにゃ」
Ａ君　「えっ、何？」　
Ｂ君　「主将の夢だよ」
Ｃ君　「そうそう」

最初これを聞いた時は、もしかして主将だけしか「夢の世界」の記憶が無いのかな、と思いました。でもそうじゃないはずですね。みんなユニフォームが汚れているし、クラフトたちの会話に、「戻って来た部員たちは、やけにテンション高かったですね」「きっと夢の世界で、いい試合してたんだろうな」　とあり、部員たちは確かに、「夢の世界」の記憶があるはずです。原因となった選手以外は。

なのでＢ君とＣ君のセリフは、夢の中の試合の記憶はあるが、「夢の話と一緒にすんなよ」と茶化したものでしょう。話の流れは分かっています。一方でＡ君の反応は、明らかに話の意味が分かっていません。つまり、彼は夢の世界に行かなかったわけで、あれはＡ君の脳内だった、ということになります。

でも、僕は別の解釈も可能だと思っています。Ａ君が関係あるとしても、首謀者は別に居るという。

夢の中の試合では、選手たちは立ち上がりにガチガチに緊張していましたが、あれがウォーミングアップになったようで、現実の試合では最初からいい雰囲気のようです。そう思えば、この事件は雪隆たちにとって「いいこと」だったのですよね。　実はこれ、すべて王子のしわざで、以前に世話になった雪隆への、小粋な贈り物だったのかもしれないなと。　たまたまあそこに王子がいたことの説明も付きますし。やけに、状況に詳しかったですしね。

王子は毎回、お騒がせなことをしながらも、最終的には物事はよい方向に向かいます。それがすべて仕組まれているのだとしたら、つくづく食えない人物だと言えるでしょう。でもカッコイイじゃないですか。

ポチっとして頂けると励みになります！↓