メルクマール

『異星人と地球人の恋愛』のテーマは、4話のコンウェル星人のエピソードでもありました。どちらも、相手に危害を加えるという点では共通しています。作者はこのテーマが好きなのでしょうか。ただし、マクバク族はコンウェル星人とは違って、無理やりではなく、相手を誘惑して虜にするようですね。でも、相手だけでなく、相手の種族全体を滅亡させるということで、さらにタチが悪いと言えます。

『誘惑にして殺す怪物』というテーマは、『メデューサ』など、民話やファンタジーに多くありますが、この手の設定はエロスと結びついているものです。SFで言えば『シャンブロウ』が有名で、主人公が快楽の虜にされるシーンの描写が濃厚でした。

でもこの作品は、少年誌に掲載されていたわけなので、エロを前面に出すわけにはいかず、誘惑を恋愛として描写するのでしょう。しかし、あのカップルはいかにも頭が悪く、サカリが付いているだけに見えるので、二人の恋愛に感情移入できそうにありません。少年誌の現界を感じます。

このエピソードは、クラフトの奮闘ぶりを楽しむものなのでしょう。人の色恋沙汰に首を突っ込むという損な仕事を、懸命に遂行している彼が気の毒で、かつ笑えます。彼は、護衛対象に振り回される運命のようです。

幹久が女性だというオチは、早々に気付いてしまいました。声が女性だし、顔がやけに綺麗だし、ガールフレンドの「写真を見せたら親はビックリするだろう」といった会話がヒントになっています。でもこれが最終的なオチではなく、まだ何かあるようです。この作品のことなので、ヒネったオチが用意されているのでしょう。

サンタクロースが宇宙人だというネタは、ちょっと笑えました。確かに地球のテクノロジーとは思えませんからね。

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