メルクマール

本編は、もっぱらRPGのパロディで、それ自体はやりつくされている感があるので、クスっと笑える程度でした。でも、それは本筋じゃないというか、むしろ本質を隠すカモフラージュでしょう。

ゲームを遊んでいると、「これはゲームだから」というメタな視点はどうしてもあります。芳樹たちも、「見知らぬ小学生に、いきなり悩み事を打ち明けるか」などと、メタ視点で語っていました。

でも、いつのまにかゲームに感情移入して、現実視してしまうのも、よくあることです。魔王がいたいけな少年で、魔王としての生い立ちに苦しんでいる様子を見て、芳樹たちはすっかり感情移入してしまいました。

でも実は、この世界はゲームでは無いんですよね。人工的だけれど、実際に存在する世界なのです。「ゲームオーバー」で無かったことにはならないということを、芳樹たちはラストシーンで思い知りました。

つまり、
「しょせんゲーム」→「つい感情移入（現実視）」→「ゲームをクリアしたからおしまい」→「でもゲームじゃなかった」
という二転三転する状況を作って、ゲームとゲームプレイヤーを両方皮肉り、さらにゲーム世代の子供たちを「現実はゲームじゃないよ」と皮肉っているのでしょう。何層にも積み重なった皮肉です。作者のメンタリティーは、バカ王子そのものですね。

その場で面白いというよりは、じわじわと面白さが分かる作品で、こんなのを、よく少年誌でやったなぁと思います。だから長くは続かなかったのかもしれませんが…

「ルチ将軍」とかネーミングが適当すぎるし、「レベルは1300」とかネタが古すぎるよ。元ネタは『プリンプリン物語』ですね。

小ネタですが、最初のファミコン風の画面で、キャラが5人並んでいますが、ファミコンで5人は難しいはずです。キャラクタを「スプライト」という単位で表示しているのですが、横に4つまでしか並べられないという、ハードウェア上の制約があるのですね。だから、ドラクエ|||もFF |Vも最大4人パーティーです。

糸井里奈ちゃんが、プリンセスではなかったのはガッカリですよ。王子の体を張ったギャグのせいで、このエピソードは女性キャラが先生しかいないじゃないか。でも次回は女性の新キャラが登場のようで、楽しみにしておきます。

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