メルクマール

ネッサはドッペルなので、プログラムなわけですが、そのプログラムはどのコンピュータ（ハードウェア）上で動いているのでしょうか。フラクタルシステム上で動いているのだろう、とこれまで思っていたのですが、それだと「盗み出してきた」という意味が全然無いので、そうではないはずだと気づきました。となると、”フラクタル”のような中央コンピュータではなく、どこかのローカルなコンピュータということになります。

この世界のコンピュータは、ドッペルを動かすため手続き（インタフェイス）が標準化されていて、ドッペルはコンピュータからコンピュータへと、ネットワークを渡り歩きながら動作できるのかもしれません。ネットワーク透過の分散オブジェクト（CORBAとか）のイメージでしょうか。

ネッサのプログラムは、クレインの携帯端末の上で動いていたこともあるかもしれないし、クレインの町のいろんなシステムの上で動いたこともあったかもしれません。そして今回は、グラニッツ一家の飛行船のシステムに入り込んで、そこで動作しているのでしょう。それが不具合を引き起こしたと。

飛行船は、フラクタルの気球をベースに作られているのですね。古いシステムが何層にもあるとのことですが、システムとはわりとそういうもので、WindowsやLinuxの内部でも、何十年も前に書かれたプログラムがまだ動いているはずです。この世界では、それこそ何千年も前のプログラムが動いていてもおかしくありません。

ネッサは、そんな「プレ・フラクタル」のプログラムと反応したということで、ネッサ自身も「プレ・フラクタル」の技術を含むようです。それが、彼女の秘密に関わっているのでしょう。

今回は、そんなネッサの騒動をスパイスにしつつ、飛行船での生活と、それに馴染んでいくクレインが描かれました。忙しくも素朴な生活の、雰囲気が良かったと思えます。

掃除に洗濯にとコキ使われているのに、「なんか、自由かも」と言ったのが面白い。フラクタルの監視下で、仕事をする必要もなく、ただ過ごしていた日々よりも、新しいことを”体験”できる今の生活のほうが自由だ、ということなのかな。ネッサを見ていて、そう思ったというのはあるのでしょう。ネッサも、見るものがすべて新鮮で、それを思いっきり自由に楽しんでいました。”仮想体験”ではなく、実際に”体験”するのが尊いということが、この作品のメッセージとして全体を貫いています。

今回は、フリュネのいろんな表情を見ることが出来ました。頑なだったり、親しみやすかったり、急にキレたり、泣いてみたり、子供をうまく扱ったり。僕は気難しいタイプの女の子が好きなので、フリュネはお気に入りで、そんなフリュネの魅力がよく出ていたと思えます。

ポチッとして頂けると励みになります！↓