メルクマール

SFでは、漢字の熟語に、ノリでカタカナのルビを振ることがよく行われます。例えば禁書目録では『一方通行（アクセラレータ）』など多用されていますが、このスタイルの創始者は、故・黒丸尚さんだと言われています。ウィリアム・ギブスンなどのサイバーパンクものの翻訳を多くされた方で、『凝り性（アーティスト）』など、ノリでかっこいいルビが特徴的でした。

で、インフィニット・ストラトスの原作でも、その手の「漢字熟語＋ルビ」の用語が多いのですが、アニメではルビしか発音されないので、分かりにくくなっています。なので、ここで補足説明してみます。

後付装備（イコライザ） - ISの強化のために追加で装備するもの。主に武器

拡張領域（バススロット） - 後付装備を装着するためには、所定の拡張領域が空いていることが必要

唯一仕様の特殊能力（ワンオフ・アビリティ）　- ISと操縦者の相性により、自然発生する特殊能力

シャルルの『ラファール・リヴァイブ・カスタム』と、一夏の『白式』は対照的な機体です。シャルル機は、第二世代なので特殊能力は無いのですが、そのかわり拡張領域（バススロット）がたくさん空いていて、様々な後付装備（イコライザ）を使うことができます。それらを、相手との相性や間合いによって使い分けるのが、シャルル機の戦い方です。

一方で一夏機は、ワンオフ・アビリティの零式白夜がすべての拡張領域（バススロット）を占有しているので、後付装備（イコライザ）が何も付けられないのでした。なんとも極端な機体で、千冬が「欠陥機」と呼んだのも無理はありません。　ISはまだ新しい兵器なので、いろいろ試行錯誤されている段階ということです。

「一夏が勝てないのは、単純に、射撃武器の特性を把握していないからだよ」とシャルルは言いますが、それは的確なアドバイスでしょう。白式は接近戦では無敵ですが、それが分かっている相手は、間合いを取って射撃戦に持ち込むのは当然です。その射撃をかいくぐって接近戦に持ちもむには、射撃武器の戦い方について知ることが必要です。

そのため、シャルルは一夏にライフルを貸して、射撃のレクチャーをしました。一夏は、「とりあえず、速いって感想だ」と言いましたが、その意味は、白式の瞬時加速（イグニッション・ブースト）が切り札のつもりだったのだけれど、それでも銃弾の速度には勝てないことに気づいた、ということです。

デュノア社の事情についても、わりとさらっと流されましたね。これも補足すると、欧州連合では時期主力ISの機種選定が行われていて、それにイギリス・ドイツ・フランスなどのメーカーが参加しています。　セシリアやラウラの第三世代ISは、その候補の機体で、彼女たちがIS学園で専用機を与えられているのは、開発とデータ収集のためです。一方でフランスのデュノア社は、第二世代では成功したものの、第三世代の開発に難航していて、いろいろ焦っているという話でした。

設定説明は端折られていますが、原作には無い、一夏とシャルルの戦闘シーンを描写したのはGJでした。シャルルも可愛く描かれていて、全体としては満足な出来です。

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