メルクマール

「自分が相手を好きなことは、相手にバレているんじゃないか。そして相手は、それを迷惑に思っているんじゃないか」
という気持ちは、身に覚えがありますね。切ない。相手が何を考えているかなんて、本当のところは分からないので、ネガティブな考えに取り憑かれると、それから逃れるのは難しいものです。

OPで、風早の枕元に『こころ』という本がありますが、これは夏目漱石の『こゝろ』ですよね。 風早の座右の書にはふさわしいのでは。
主人公が、下宿の家主のお嬢さんに恋をして、相手も気がある様子だったのに、ボヤボヤしているうちに、友人とお嬢さんが仲良くなって嫉妬に駆られるという話です。

『こゝろ』のテーマは、「人間は心から自由になれない」ということだと思っています。心が求めることと、頭で考えたことはしばしば違っていて、そのズレが悲劇を生む。

「恋は罪悪ですか」と私がその時突然聞いた。
「罪悪です。たしかに」と答えた時の先生の語気は前と同じように強かった。
「なぜですか」
「なぜだか今に解ります。今にじゃない、もう解っているはずです。あなたの心はとっくの昔からすでに恋で動いているじゃありませんか」

確かに、恋は頭ではなく心を動かすものです。風早は爽子は、心では好きあっているのが分かっているはずなのに、頭では「迷惑なのでは」と考えてしまっている。恋愛を成就させるために必要なのは、あまり考え過ぎずに、心に任せることかもしれません。でもそうするには、二人は”いい人”すぎるのでしょう。健人は心に正直ですが。

風早が、爽子の元に駆けつけたのは、いい傾向です。そうやって攻めるのが彼らしいから。でも、ややこしいシーンに出くわしたようで、誤解を生む余地がいろいろありますが、どうなることやら。まだまだ引っ張りそうですね。

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