メルクマール

連作短編のような形式なので、「これはどういうお話なんだろう」というサスペンスが何度も味わえるのはお得です。今回も、先生をめぐるサスペンスにはドキドキしました。

うがった見方かもしれないけれど、王子は悪ふざけをしつつも、ちゃんと『治安維持委員長』としての仕事をしている気がします。小学校の先生が札付きの殺し屋ということで、一応、地球の子供たちに対する害意が無いかどうか、確かめる意図があったんじゃないかと。生徒に正体を見破られて、本気で襲うようであれば、王子は介入したと思えます。おもちゃの変身アイテムをわざわざ改造して、防御力を持たせるという配慮もしているし。

先生は、ドグラ星の王子の仕業と聞いて、警戒を解きました。王子の所業は宇宙に知れ渡っているようですね。よくパタリロと比較されますが、パタリロも、国民をおちょくるような政治をしているのに、国民は「王子のやることだから仕方ない」と諦めていて、むしろ妙に人気があるのでした。こちらの王子も、そのタイプなのでしょう。

ハイテンションな王子と、ローテンションな小学生との対比が面白い。子供たちが最初からテンションが低いのは、王子があまりにも胡散臭いからでしょう。もっと普通に宇宙人を演じれば、「宇宙人にさらわれて宇宙にいる」ことに対して、普通に興奮（あるいは恐怖）しただろうし、選ばれて正義の戦士になったことに、有頂天になれたかもしれない。でも王子のせいで台無しです。

子供たちのテンションが低いからこそ、面白いのですよね。『悪の宇宙人』を逆に雇って、王子を殺そうという発想にも笑える。戦隊物のパロディのような内容になるのでしょう。

ところで、戦隊物はもちろん日本で生まれたのですが、アメリカでそれをリメイクした『パワーレンジャー』シリーズが作られ、大ブームになりました。子供番組で史上最高の視聴率を記録したとか。当時、アメリカで子供服売り場に行ったら、パワーレンジャーのグッズがいっぱいで驚いたものです。　宇宙でも、地球の戦隊物がブームになったりしているのかなぁとニヤニヤさせられます。 そういえば、レベルEが連載されたのは、ちょうどパワーレンジャーが流行ってる頃ですね。

パワーレンジャーは、メンバーでの人種や性別の比率が慎重に配慮されていて、日本よりは女性が大目に入るようです。やっぱ配慮は必要かと。　だから、カラーレンジャーにロリ、、じゃなくてピンクがいないことは、断固抗議したいですね。あくまで、配慮が必要ということで。

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