ケイトは敵か味方か。STAR DRIVER 輝きのタクト 第18話 『ケイトの朝と夜』 のレビューです。
これまでの行動からすると、ケイトは明らかに敵でした。日死の巫女(ミズノ)の封印を解くために、一番積極的に動いていたのは彼女ですし。巫女の封印を解くことは、ワコを守ろうとするタクトやスガタの利益に反していています。
一方で、自分が巫女であることは、綺羅星十字団には明かしていませんでした。バレていますが。また、スガタが『王の力』を使った副作用で昏睡したとき、それを目覚めさせる力らを持っているのは、彼女だけのようです。ワコではダメらしい。
彼女の行動は支離滅裂に見えますが、そもそも、この物語での各登場人物の立ち位置には、納得できないところは多いのです。特に、『シルシ』を持つ人々の立ち位置ですね。
僕は以前は、シンプルに考えていました。『シルシ』は、古代銀河文明が、自分たちの秘密を守らせるために人類に与えたもので、その使命に従って、タクトやスガタ、そして巫女たちは戦っている。 一方で、綺羅星十字団は古代銀河文明を手に入れるために、機械仕掛けでシルシを作り出した。 つまり『本物のシルシ』と『機械仕掛けのシルシ』の対立という構図で、とても分かりやすいです。
でも実際には、綺羅星十字団にも、本物のシルシを持つメンバーが5人以上存在していて、さらに巫女であるケイトもいます。なぜ、『本物のシルシ』を持つ人々が2派に別れているのでしょうか。シルシは古代銀河文明が人間に与えたはずですが、どうしてこうなったのか。
可能性の一つとして、『古代銀河文明』が実は一つではない、が考えられます。対立する二つの派閥、あるいは二つの文明があって、それぞれが人間にシルシを与えて、その代理戦争が行われているのかもしれません。でもそれにしては、タクトたちの側と、綺羅星十字団側とで、使っている武器や紋章などに統一感があるので、別グループとは考えにくいものがあります。
別の可能性として、シルシを持つものを敢えて戦わせている、ということがあり得るでしょう。古代銀河文明の遺産が南十字島に残っているのは、うっかり放棄されたのではないはずです。わざわざ巫女で封印する仕組みを作り、人間にシルシを与えたのですから。これは、「いつか資格ができたら、我々の遺産を手にしても良い」という意志表示なのでしょう。 そして、そのためにはシルシのあるもの同士が戦って、資格のあるものが勝ち残ることが必要なのではないか。
つまり、『2001年宇宙の旅』のような話です。月の裏側と、木星軌道上に謎の物体『モノリス』が発見されるのですが、それは、人類がそこまで到達できるのなら、星間文明の仲間として認めてもよいと言う、会員証のようなものでした。 古代銀河文明の遺産も、資格が持った存在によって、封印が解かれることを待っているのかもしれません。それにより、人類が星間文明の仲間に加えられる「旅立ちの日」が訪れるわけです。
ニチ・ケイトは巫女なので、与えられた役割を”知っている”はずで、彼女の役割は綺羅星十字団にあるのでしょう。でも巫女であることを言えないのは、封印を解かれる(巫女ではなくなる)ことによって、スガタとの絆が失われるのが辛いからでは。巫女のうちの誰かが、スガタの嫁になるわけですからね。
クールに振舞っているのに、「スガタに褒められたから歌が好き」という、人一倍女の子っぽいところもあったんですね。とても可愛いキャラだと思えるようになり、こういうキャラ描写はとてもうまい作品です。
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シルシを持たない者は見送るだけという「旅立ちの日」を、言葉通りに受け取ると、当然印を解かれた巫女は置いていかれる訳なので、スガタに執着するケイトはヘッドとなんらかの取引をしているとも考えられますが、その場合は約束を反故にされるという形で報いを受けそうです。
単純に島から出て自由になりたい、という理由では短絡的過ぎる気もしますし、実は夜間飛行側(味方)である可能性もあるのでしょうか。
選民意識に凝り固まった一派にしか見えないバニシングエージは、サイバディ及び古代銀河文明の遺産独占を目論んでいるようにも思えます。
シルシ持ちを古代銀河文明を持ち込んだ者達の子孫だと考えると、そのオーバーテクノロジーを不要として消し去ることを望む一派と、それを我が物として地球から立ち去るか、地球そのものを変えて支配することを望む一派との諍いの構図ともとれるでしょうか。
温泉地である南十字島は、その際火山噴火でも起すのではないかと更に深読みしているのですが(笑
「それでも彼らを信じたいのです」とは誰に言ったとも知れないサリナ部長の言葉ですが、まるでドライバー達の対立の行方を案じる、彼らの先祖ででもあるかのような発言ですね。
レディ・アンは、一種の超人であるトレーズに、部下・女として心酔しきって、彼が世界の頂点に立ち、人類を導く未来を夢見て、あらゆる汚れ仕事に、自ら手を染めてゆきます。
が、結局トレーズはそんなものに興味を示さず、レディ・アンの夢は潰えます。
もしケイトが、愛する男を世界の王にしたいなら、どうでしょう?。
シルシの有無は、血統によるし、サイバディ達のヒエラルキーは初めから決まっているようです。
スガタが王である事実は絶対で、覆せないんじゃないかな?。
ヘッドもエンペラーの座を空けてあると言ってますしね。
つまり、綺羅星十字団が世界を征服するという事は、スガタが人類の王になる事に他ならないとか。
実権を握れるかは別として。
ケイトは、それを目的に暗躍していると、面白いと思うんですがね。
しかし、問題はトレーズと同じく、スガタも世界征服には全く興味がないことです。
最後は、ケイトがVガンのカテジナみたいになったら、面白いな~。
ケイトは、巫女のシルシを喪うのは避けたいでしょう。「旅立ちの日」もそうですし、スガタの嫁としての資格も喪うわけで。それと、綺羅星十字団での立場の板ばさみなのだと思えます。
バニシングエージは、古代文明の簒奪者ではなく、正当な後継者なのかもしれません。全員、シルシを持ってるわけですし。彼らの選民意識は、その表れなのかも。
サリナ部長は、一番謎なキャラですね。重要なキャラなのかさえ謎です。
■ああああさんコメントありがとうございます!
ケイトの願いは、スガタを王にすること、ですか。なるほど、それであれば、綺羅星十字団にいる理由は説明できますね。
ケイトは、ワコに嫉妬していると思うのですよね。自分なら、ワコと違ってスガタの役に立てるという自負が、彼女の存在意義なのかもしれません。
しかし、こうしてみると、スガタが主人公みたいですよね。ベニオもスガタラブですし、ヘッドもそうです。「輝きのスガタ」でも良かったのではないか。
僕は、スガタはそれなりに力に興味があって、綺羅星十字団のエンペラーになる可能性は高いと思っています。でも、それでケイトが幸せになれるかは、別の話でしょう。