メルクマール

この作品の笑える理由の一つは、「ヒロインたちがいかにもな萌えキャラであり、ヒロイン自身も萌えキャラを演じている」というところにあると思えます。　奈緒は、「毎朝お兄ちゃんを起こしにくる妹キャラ」を意識して演じていますよね。そんな妹が現実にいるとは思えないし、いまどき萌えアニメでもベタすぎて躊躇するほどのキャラ設定ですが。

彩葉も、「幼なじみのツインテールキャラ」を演じているように見えます。「子供の頃の約束」という、いかにもな設定もあるし。「幼なじみと劇的に再会して、結ばれる自分」という設定に、酔っているところがあるのでは。

キャラに萌えるというよりは、キャラがいかにもな萌えキャラを演じていることを楽しむという、こういうのは『メタ萌え』と呼んでいいのかな。今回は特に、「溺れた相手に人工呼吸をしようとして一悶着」など、萌えアニメの水着回のお約束をいちいちなぞるパロディになっていました。

Bパートの半分くらいは、ギャルゲー（エロゲー？）のキャラである静留のシーンですし。修輔にとっての現実が、あまりにメタなので、妄想もメタになってしまったのか。

この手のメタな笑いを提供するものとしては、最近では『プリンセス・ラバー』の6話が出色でした。いかにもな温泉回で、登場人物たちは、自分たちが萌えアニメの温泉回に登場していることを自覚しているようで、それに沿った「いかにもな」行動をします。下らないのだけど、なぜか笑えるのですね。

ただし、パロディというのはハマると面白いけれど、滑ると悲惨であり、センスが必要です。この作品はセンスが良いと思えますね。春ちゃんとひろりんというキャラを配置したこととか。

奈緒や彩葉の行動は、萌えキャラを演じているとすれば”普通”で、彼女たちもそう思っているのでしょうが、一般常識から見れば相当に変なわけで、その視点を春ちゃんとひろりんが与えています。彼女たちのリアクションが、メタと現実とのギャップを表していて、笑えるポイントになっているのです。

ま、笑いに理屈を付けるのもヤボかもしれませんが、そんなこんなで楽しめています。次回は委員長回になりそうで楽しみですね。

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