メルクマール

全編がIS同士の戦闘シーンでしたね。見ごたえはあったのですが、やはりというか、説明が不足しています。文章と違って、くどくど説明すると戦闘のスピード感が削がれるので、難しいところでしょうけれど。

甲龍の『衝撃砲』は、 周囲の空間に仮想的な砲身を形成し、そこからエネルギー弾を撃ち出す、というもののようです。砲身が目に見えず、しかもどの方向にも撃てるのが厄介な点。

一夏が切り札として温存していた『イグニッションブースト』とは、原作によれば、「後部スラスターからエネルギーを放出、それを内部に一度取り込み、圧縮して放出する。その際に得られる慣性エネルギーを利用して爆発的に加速する。」とあります。

これだけではよくわかりませんが、アフターバーナーみたいなものと理解しています。アフターバーナーとは、ジェットエンジンのノズルのところに燃料を直接吹き込むことで、燃費は悪いけれど、爆発的な推進力を得るものです。　イグニッションブーストも、スラスターの出口に直接エネルギーを吹き込んで、エネルギー自体を推進剤として反応させることでモアパワーを得る、というものなのかなと。

一夏の白式には、イグニッションブーストと零落白夜を同時に使うエネルギーは残っていませんでした。そこで一夏は、衝撃砲をわざと背中に受けて、その打ち出されたエネルギーを使ってイグニッションブーストを行います。狙い通り、爆発的なスピードで敵ISの反応速度を上回り、『零落白夜』を当てることができたのでした。

『零落白夜』は敵ISの腕を切り落としますが、同時にバリアも無効化され、丸裸になったところをセシリアの狙撃で撃ちぬかれます。無人機なので、レンジ外からの攻撃に無警戒であろうと一夏は読んでいた、ということになっています。

これは、ロボットや人工知能にとっての難問である、『フレーム問題』を意識しているのでしょう。現実世界は多くの情報で溢れていますが、人間の脳は、重要なものと、そうでもないものを無意識に選別できます。例えば、道を歩いていて、周囲にあまり注意を向けていなくても、サッカーボールが飛んできたら気配で避けることができるものです。　

でも、人工知能にはそういう器用さは無いので、周囲のあらゆるものの動きを見張って、それが自分にとって危険ではないかを計算し続ける必要があります。例えば、遠くで子どもがサッカーボールで遊んでいても、人間はそれを無視できますが、人工知能は無視できません。周囲の全てを計算するのは無理なので、計算する領域（フレーム）を狭める必要があり、それが人工知能の限界です。一夏はその性質を利用して、フレーム外からの奇襲をかけた、ということなのでしょう。

ここまでの説明は必要無いにしても、もうちょっと説明があっても良かったと思います。理詰めの戦闘シーンが、この作品の魅力なので。僕は原作を知っているので、躍動感のある戦闘シーンを純粋に楽しめましたが、知らない方がどうだったか心配です。

それにしても、１話まるまる戦闘シーンはすごいですね。原作は、ラブコメシーンが多くて、戦闘シーンは一部という印象があるのですが、アニメはラブコメシーンを端折ってでも、戦闘シーンに尺を当てる方針のようです。　そのため、セシリアがデレるのが唐突だったりという弊害はありますが、戦闘シーンをしっかりやってくれるのは歓迎ですね。

ポチっとして頂けると励みになります！↓