メルクマール

言うまでもありませんが、女性の美しさは、素材の良さだけでなく、化粧やファッション、さらに表情でかなり変わるものです。　僕が通っていた高校は、田舎の進学校で、あまりおしゃれにしていると浮くような空気があったのか、女子はたいてい野暮ったい感じでした。　大学に進んで、同じ高校の女子をキャンパスで見かけると、綺麗になって驚いたものです。　化粧やファッションもそうですが、晴れて大学生になり、「これから恋に遊びにはじけるぞ！」という解放感が、表情に出るのでしょう。

爽子も、ファッションや表情で損をしているけれど、素材はすごく良くて、磨けば光るタイプでしょう。OPアニメの冒頭で、家事ファッションの爽子が、よそいきのファッションにチェンジするシーンがありますが、あそこはとても好きですね。地味な女の子が、綺麗な女の子に脱皮する瞬間。

風早は、そんな爽子の素材の良さを見抜いた慧眼の持ち主で、それは誇っていいですが、「あの子が綺麗なことは、俺だけが知っていればいい」という独占欲が強いのです。爽子の笑顔をみんなが褒めたとき、さびしそうでした。「爽やか風早君」としては、あそこは爽子のために喜ぶべきですが、そうはできない。自分がそういう我儘な人間であることは、彼はよく分かっているので、「風早君はいい人だから」という爽子の中の幻想に、苛立っているのでしょう。

実際、爽子は風早への恋心と、感謝の気持ちをごっちゃにしているでしょう。うまく気持ちを伝えられないのも、「感謝の気持ちを伝えられない」という方向に、いつのまにかすり替わっている。そうじゃないはずなのだが…

「いいぜ、黒沼が何でも、『風早君はいい人』で片付けるってんなら　まずはそのふざけた幻想をぶち殺す！」

というくらいの気概が、風早君には必要かもしれません。

そもそも、風早は投手で言えば速球派です。「黒沼の力になりたい」と臆面も無く言い、クラス全員の前で爽子を擁護し、ピンチには駆けつけて優しい言葉をかける。ストレートをド真ん中にビュンビュン投げ込んでいて、それが彼の持ち味でしょう。

でも、爽子とギクシャクしてからは、速球は影をひそめ、変化球を怖々と投げ込んでいます。前回の「俺、黒沼にとって、男子の中じゃ一番近い存在だと勝手に思ってたけど…」とか、今回の「気にしなくていいから、忘れて。」とか。　すれ違っている気持ちを、さらにこじれされる作用しかしていません。彼は変化球投手には向いて無いですな。

一般論としても、女性に対しては、直球勝負がたいてい正解です。女性は、雰囲気で察しろとかではなく、はっきりした言葉が欲しいものだから。つまり、速球派の風早は、女たらしの才能があるのですよ。それに目覚めるべきでしょう。

三浦健人とも、いよいよ直接対決かな。三浦が「向いてないこと、よくがんばったじゃん」と言ったのに対して、風早は「向いてるよ」ときっぱり言っていました。俺の方が黒沼のことはずっと理解している、という気概からでしょう。でも、爽子の風早への恋心を、三浦は一目で見抜いたのに対して、風早は分かってないですからね。この勝負は面白くなりそうです。　2期はコメディタッチの演出が多くて、この二人の争いを、時にコミカルに、時にシリアスに描くことになるのでしょうか。

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