メルクマール

「実はドッキリでした」というのは、あまり上等なオチとは言えません。夢オチみたいなもので、なんでも解決できてしまうから。でもこの作品では、伏線の張り方が丁寧で、騙された5人以外は全員がグルだった、という徹底っぷりがいいので、すがすがしく「やられた！」と思えます。

「忠誠心を試すため」と言いますが、もしそれで、クラフトたち3人が王子を守らなかったとしたら、シャレでは済まないのです。SPの仕事は、自分の体を盾にして要人を守ることだから。　つまり、王子はクラフトたちを信頼しているんですよね。彼は悪戯が好きで、悪気はあるけれど、悪意は無いのです。クラフトが悲壮な覚悟で、身を差し出した瞬間に、「なにマジになってんの」とからかうつもりだったのでしょう。　でもやられる方としては、悪気も悪意も差は無いので、クラフトが激高するのは無理ありません。

王子の日記も、わざと見つかるように置いていたのかもしれませんね。いろんな結末のパターンを考えていたのでしょう。

クラフトたちの忠誠心は試せなかったけれど、あそこで雪隆が王子を守ったのは、王子にとっても意外な結末だったのでは。地球人に信頼できる人間を見つけたということで、この壮大な悪戯は、王子にとって実りがあったと思えます。

ディスクン星人は、何のために地球で人間にまぎれて暮らしているのかと思っていたのですが、野球のためなのか？　同じ野球好きのエラル星人と利害が一致しているので、共存できているようで。

ディスクン星人の長はヤクザっぽいわけで、野球賭博の胴元なんじゃないだろうか。全宇宙的に野球賭博を取り仕切っていて、重要な産業になっていたりして。というのも、地球人の監視を禁止する”種族の掟”というのは、賭けの公正さを保つためと思えるので。だとしても、少年漫画では言えませんな。 　無邪気にサインを求めるあたり、野球が本当に好きではあるのでしょう。

なかなか面白いエピソードでした。映像や演技も、作品の雰囲気をうまく出していると思えます。ひとまず完結のようですが、次からは雪隆たちは登場するのかな？　愛着が出てきたので、登場してくれるといいのだけれど。

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